【1961年】ヒル夫妻誘拐事件

1961年に起こったヒル夫妻誘拐事件。アメリカで最初のUFO誘拐事件として超常現象ファンの間ではあまりにも有名である。映画の題材にもなったこの事件について見ていこう。この事件の登場人物はバーニー・ヒルとベティ・ヒル夫妻。夫のバーニーは黒人、妻のベティは白人という当時はまだ珍しい組み合わせのカップルであった。1961年9月19日、ニューヨーク州とケベック州での休暇を終えた二人は、ニューハンプシャー州にあるポーツマスの自宅に戻る車中、空に明るく輝く光の点を発見した。最初は飛行機か人工衛星かと思ったが、地上30mで停止していたため、車を降りて近づくことにした。バーニーが双眼鏡で覗いてみると、一列になった窓から奇妙な顔が目撃された。捕まるかもしれないという恐怖にかられたバーニーは車に飛び乗り、逃げようとしたがそこで二人とも記憶を失ってしまう。
意識を取り戻した時には、最初にUFOに遭遇した場所から60kmも離れた場所にいたという。それ以降、夫妻は約2週間に渡り睡眠障害に悩まされた。特にベティは、ドライブ中に異星人から身体検査を受けるという悪夢を見続けたとのことである。耐えきれなくなった夫妻はまず、UFO研究団体であるNICAPへ助けを求めることになった。NICAPの夫妻に対するインタビューの結果、自宅に到着するまでに2時間ほど余計にかかっていることが分かった。しかし夫妻にはその2時間の間に何が起こったのかどうしても思い出せないでいた。この2時間の空白を埋めるために1963年、催眠療法を導入することになった。ボストンの精神分析医であるベンジャミン・サイモン博士が夫妻の治療を担当することになった。博士が行った治療は退行催眠というもので、失われた記憶を蘇らせることができると言われている。治療の結果、夫妻は2時間の間にUFO内へ連れ込まれ、身体検査を受けたという衝撃的な事実が明らかになった。
「車の前に黒い服を着た人影が立ちはだかった。小柄で頭髪はなく、頭の両側に小さな穴が開いている。のっぺりしていて鼻や口が確認できない。目は異様に大きく、頭の端まで切れ上がっている(これは後にグレイ・タイプと呼ばれるようになる)。人影の一団は車から二人を引きずり出し、UFOの中に連れ込み身体検査を始めた。ベティは椅子に座らされ、目・口・鼻を覗かれ、髪の毛と爪を少し採取された。服を脱がされて横にされると、体に針を当てられた。長い針がへそに刺しこまれた時は激痛だったが、リーダーと思われる人物が目の上に手をかざすと痛みが消えた。
一方バーニーだが、腹部に奇妙な装置を乗せられた。そのせいか分からないが、後日イボができてしまい、手術せざるを得なくなってしまった。宇宙人は夫妻の体つきの違いについてテレパシーでの説明を求められた。黒い肌と白い肌、バーニーの入れ歯など。その後、ベティは天体図を見せられた。たくさんの点を線で結んだこの図の意味を問うと、それぞれ貿易ルート、ときどき利用するルート、探検隊のルートであると教わった。この直後、二人の記憶は消され車に戻された。」
作り話かと思われたが、それはすぐさま否定された。ベティが描いた天体図(スター・マップ)が、まさしく実在する星の配置と一致していたのである。アマチュア天文家のマージョリー・フィッシュによると、異星人の母星は地球から23光年離れたレクチル星ゼータ星とのことである。これにより、ヒル夫妻が宇宙人に触られたのは事実であることが証明されたのである。