埼玉県飯能市南川447

正丸峠

正丸峠とは、埼玉県飯能市と秩父郡をつないでいる峠である。江戸時代には江戸と秩父をつなぐ重要な道のひとつであり、秩父札所の巡礼などによく使用されていた。その後昭和に入るまでその道は国道299号線として使用されていたが、1982年に正丸トンネルが完成すると、国道はそちらに移動することとなりこの峠を使われることも少なくなった。しかし、現在も交通封鎖などはされておらず普通に通過することのできる道である。また、1980年代後半からは峠道であることと、普通の乗用車がめったに通らないことからバイク好きたちが峠をかっとばすメッカとしても一部の人々に人気のスポットとなっている。

さて、そんな正丸峠にも心霊現象の報告が多数あげられている。多くは事故で亡くなった人がそのまま残っているというものである。バイク好きたちが自由に走ることができる道として人気である反面、そのような無謀運転による事故も多発しているのである。そのため、付近のガードレールは何かがぶつかってひしゃげている箇所がいくつも見受けられる。カーブで曲がりきれずにぶつかってしまったのだろう跡が多く残っているのである。そのため、目撃証言が多い幽霊は事故にあったときのままの姿をしているらしい。血まみれで苦しんで死んでいった姿がそのまま現れるのだそうである。

また他にも夜中に走っていると白い服を着た女性が現れて、町までのせてほしいとお願いされるのだそうだ。断ると、後ろからよつんばいになって追いかけてくるという恐ろしい噂が広まっている。この話には、女性やおばあさん、人の顔を持った犬などのバリエーションがあり、いくつかのデマも飛び交っているようである。これらを見てしまったライダーや運転手はその後1年後に死んでしまう、帰り道で事故に遭うなどの不幸が伝えられている。

これらの恐ろしい噂は、いくつかのバリエーションがある上に、様々な人が話をしている。また全国の他の場所でも同じような話はよくあるのだ。いったいなぜだろうか。女性がよつんばいになって追いかけてくる、というような噂はどうやらもともとは他の場所で言われていたことらしい。それが若者たちの間で広まり、この正丸峠に移ってきたようである。それ自体は、よくある話であり、バイクで走り屋をしている若者たちのスリルをさらにあおる効果があるのであろう。またこの噂を全国に広めるきっかけになったのはテレビであるようだ。1980年代に若者たちに絶大の人気を誇ったテレビ番組にて、この峠が紹介されてさらに噂のことも調査されていたそうだ。実際にその番組内で証拠をつかむことはなかったようであるが、それによって多くの若者たちはその噂を知ることとなり、広がっていくことになったのだ。その前後で峠に行く人が増えてしまい、地元の人々の迷惑にもなってしまったという。

では、正丸峠の心霊現象はすべてただの噂だったのだろうか。だが、実は番組内では、女性に追いかけられたことによって事故にあったという人々が取り上げられている。ただの噂で追いかけられている妄想にかられてしまっただけなのだろうか。しかしそのような事故が数回起きているのである。ただの妄想だけで複数回の事故が起きるものだろうか。真相はわからないが、彼らは本当に得体の知れない何かに追いかけられた可能性が高いのではないだろうか。

よって、軽い気持ちで肝試しにいくのはやめた方がよいであろう。実際に行かれる方はくれぐれも気をつけたほうがよい。ひょっとしたら、この世の物ではないなにかをつれてきてしまうかもしれない。

週末になると走り屋が多く集まる場所であり、事故も多いようでガードレールにその跡が残っている場所もある。事故で亡くなった霊が現れると噂されている。