埼玉県北足立郡伊奈町大字小室字丸山

伊奈氏屋敷跡

心霊的な噂はあまりされていないが、ここは沼地が多く湿地帯ともいえる土地で、不気味な雰囲気に包まれている。過去には代官屋敷で非道な行いや拷問などが行われていたと言われている。

埼玉県北足立郡に、有名な屋敷跡がある。埼玉県の指定史跡にもなっており観光名所である。その屋敷はもともと、代官頭であった伊奈忠次が建設したお屋敷である。彼はその当時、善政をしいたことでも有名である。豊臣秀吉の小田原攻めの際には、主君徳川家康の命で兵糧を運び功績をあげたり、廃れ気味であった各地の農村を復活させ、地域を豊かにさせるなど様々な功績を残している。そのようなその地域に貢献した歴史のある伊奈氏屋敷跡であるので、現在でも多くの人々が訪れその歴史に触れている。
しかし、その伊奈氏屋敷跡には、史跡としての顔ともう一つ、心霊スポットとしての顔があることでも地元では有名である。現在、この場所には屋敷そのものがある訳ではなく、お屋敷のあった跡のみが残っている。大変広い場所であり、その敷地の中には田園や広場のようなものもある。また、雑木林に囲まれており、湿地が多く常にじめじめしていて底なし沼もいくつかある。そのような不気味な状況もあって、幽霊が出る場所として評判である。
どうして、心霊スポットとなってしまったのか、その理由は土地の不気味さだけではない。そもそもの原因は、伊奈氏が住んでいたころにさかのぼるという。善政をしいて当時の埼玉を支えたことでも有名な伊奈氏であるが、その陰では様々な拷問や殺戮が行われていたらしいのだ。善政をしき、市民に慕われた一方で、広大な敷地内では、そのような日のあたらない部分もあったそうだ。現在になってはどの辺りでそのような行為が行われていたのかどうか定かではないものの、そのころに殺されて未だに成仏できずにさまよっている幽霊たちがいるのだ。今となっては虐殺や拷問の事実を知る人はほとんどおらず、歴史の闇に葬り去られている。そのような人々がどれほどいたのかわからない。そのような誰にも知られることのなかった恨みを残した人々が存在しているのだ。その他にも、この周辺は当時、かなり閉鎖的な場所だったそうだ。嫁を虐め殺して自分も自殺してしまった姑の話などそこでは、外に知られない様々な問題があったらしい。それらの人々の幽霊が恨みを残したままその場所にとどまっているそうである。
この史跡、伊奈氏屋敷跡は現在では観光名所となっているので簡単にアクセスすることができる。埼玉県のホームページなどにも取り上げられており、その他にも観光地として宣伝されている。昼間に訪れると、観光客もいるし、明るく土地の歴史を感じられるスポットである。しかし、夜になるとその姿はがらりと変わってしまう。屋敷の跡地であるが、その周辺は雑木林に囲まれており、うっそうとしている。また、湿地地帯でもあるので、じめじめしており、沼もあるような場所である。じめじめとした雰囲気だけでも恐怖を感じる。敷地内に足を踏み入れるとどこからともなく、この世のものではない気配を感じるそうだ。誰かの恨みが漂っているのであろう。軽い気持ちで来た人々を威嚇しているのだ。生前に、ひどい行為に合い、無念のうちに死んでいってしまった人々の果たすことができない呪いの念を感じるそうだ。
伊奈氏屋敷跡は、観光地なので誰でも気軽に行くことができる。昼間に行く分には大変歴史のある立派な場所である。しかし、心霊スポットとして深夜に行く際には十分にその危険性を理解しておかなければならない。気軽に行って何かに呪われてしまったとしても自業自得である。それほどに危険な場所である。