千葉県富津市小久保1588

東京湾観音

市のほぼ中央、大坪山の山頂に東京湾の入り口に向かって建てられ、高さは56メートルある。1961年に宇佐美政衛が平和祈念と戦没者の慰霊を目的として建てた。心霊スポットとして有名なのは、観音像に辿り着く道中にある観音隧道で、かつて山頂までは、このせまいトンネルを通って行かなければならなかったが、現在は舗装された道路が迂回路として通っている。霊的な噂としてはトンネル中央で、クラクションを三回鳴らすと車のボディに無数の手形がつくなどの怪現象が起こると言われている。

"千葉県都富津市には有名な観音像がある。作者は仏像彫刻家の長谷川昂である。長谷川は千葉県鴨川市で生まれ、仏像彫刻家としての人生を歩んでいた。その結果、鴨川市の名誉市民に挙げられている。この東京湾観音は、奈良県の法隆寺にある仏像をモデルとしており、「仏教伝導の最終地点を千葉に」という彼の思いが込められている。大変大きな仏像であり、全長56メートルでその体内には314段の螺旋階段があり、様々な美術品が展示されている。遠くからでもその姿を見ることができ、存在感を放っている。
どうして、この地にこのような巨大な仏像が建てられるようになったのかそれには深い事情がある。もともと、建設を指揮した宇佐見政衛は第二次世界大戦中には東京深川で材木店を営んでいた。しかし、1945年3月の東京大空襲にて彼の住んでいた地域はもちろんのこと東京いったい一面辺りは火の海となり、多くの人々が命を落とすことになった。それはあまりにも悲惨な情景であった。それを目の当たりにした彼は戦後そのような悲惨な事態を二度と起こしてはならないと考えた。また大戦で命を落とした人々のためにも率先して戦没者たちの慰霊、また世界平和を込めてこの仏像は建てられた。1956年から5年の月日をかけて作られたこの観音様は地元の人々に愛され、遠くからでもよく見通せる大きさで現在では観光地としてもその役割を果たしている。多くの人々に平和の大切さを伝えているのである。
そんな、東京湾観音には、心霊現象がたびたび目撃されているようである。実際に訪れるとその大きさも相まってとても荘厳な雰囲気であり、畏怖の念すらも感じる。もともと平和を祈願して建てられた仏像であるが、中に入れるようになっていて胸の辺りには窓が開いている。そこから外をのぞくことができるようになっていたのだが、そこの部分から飛び降りて自殺する人が後をたたなかったのだそうだ。そのせいもあってか、現在では窓の部分に乗り出すことができないように柵ができているらしい。しかし、夕暮れ時に仏像を下から見上げているとふと胸の辺りから人が飛び降りる姿を見ることがあるそうである。もちろん、柵があるため実際に人間が飛び降りることなどできないはずである。いったい何が飛び降りているのであろうか。また、謎の声を聞くこともあるそうである。未だに自分が死んでいると気づいていない霊が何度も自殺を試みているのかもしれない。
また、この付近には同じように心霊スポットとして有名なトンネルがある。かつては観音像に行くためにはこのトンネルを通っていくしかなかった。そのため、東京湾観音と合わせて有名な場所であった。現在では通り抜けることはできなくなっているが、東京湾観音の近くにあることからも多くの人々が訪れるようである。この周辺で、クラクションを3回鳴らすと、車に外側から手形がびっしりつく、車の外から女の顔が覗き込む、変な声が聞こえる、などの証言がある。観音像で自殺した人々がトンネルに迷い込みさまよっているという話もある。
この観音様は、もともと東京大空襲で多くの犠牲者を出した場所に建てられていることもあり、彼らの恨みや恐怖も残っているのかもしれない。
ここで死んでいった多くの人々の恨みや恐怖、悲しみをすべて背負ってたたずんでいる観音様はそれだけでも威厳があり、畏怖の念が出てくる。気軽な気持ちで肝試しなどに行くべきところではないかもしれない。"