熊本県芦北町海浦薩摩街道・鹿児島街道

旧佐敷トンネル

熊本県葦北郡芦北町にある全長433メートルのレンガで出来たトンネルが旧佐敷トンネルだ。熊本三大心霊スポットと呼ばれており、多くの怪奇現象が体験されている。国道三号線の旧道にある手掘りのトンネルである。手掘りのため非常に荒れているが、九州では二番目に長いトンネルだ。旧佐敷トンネルは外国人技師が設計士、日清戦争の賠償金を使って建設された。アクセスは、南九州自動車道田浦ICから南へ車で約20分ほど細い道を走ると、見えてくる。

この旧佐敷トンネルは、掘削中に落盤事故が起こり、犠牲者が出たと言われている。その犠牲者の霊が出没して、車を事故に遭わせたりする。また心霊現象が発生するのは、トンネルの中だけではない。無事トンネルを抜けても、トンネルの北側の坂道は「幽霊坂」と言われていて、夜中になると崖の方向に存在しないはずの道路ができて車が引き寄せられ、崖下に落下するという。

トンネル先の道路には、一体の地蔵が置かれている。この地蔵は大昔に建てられたものだが、目や耳、口など表情を構成するものがなく、不気味な存在感がある。

かなり昔の話だが、昭和に地元の新聞で「幽霊坂」と報道されたことがあった。このときには、旧佐敷トンネルに向かっていた車が、途中の峠道で存在しないはずの場所に坂に遭遇し、そこに突っ込んで実際に事故を起こしたというものだ。この事件がきっかけとなって、その後旧佐敷トンネルが心霊スポットであると徐々に広がり、有名になっていった。

旧佐敷トンネルに関連する体験談には以下のようなものがある。

ある人が女性一人と男性数人で旧佐敷トンネルに向かった。人数が多かったため車二台で向かい、車を入り口とその反対側に駐車した。車のヘッドライトでトンネル内を照らし、その中を歩くことにしたのだが、男性達は女性を怖がらせようと、怖がる女性をつれて中に入っていった。

トンネルの中程にさしかかったとき、運転手がわざとヘッドライトを消した。案の定女性は悲鳴をあげ、それを見て男性達は笑っていたのだが、ヘッドライトをつけた瞬間、女性がどこにも見当たらないことに気がついた。それから周辺を探したが、やはり見つからず結局女性は行方不明のままだという。

またある男性は友人と二人で、バイクに乗って旧佐敷トンネルへと向かった。男性ははじめて言ったのだが、山道をのぼって近づくにつれて嫌な気分を感じてきた。気のせいだと自分に言い聞かせていったのだが、トンネルに入ってふとバックミラーを見てみると、トンネルの入り口付近に人影を見てしまった。しかし中は暗くて危険なため加速することもできずに徐行していると、前進しているはずなのに人影の大きさが変わらないことに気がついた。男性はそのまま走り続けてトンネルを無事に出ることができたのだが、後から聞くと友人もまったく同じものを見ていたのだという。

また旧佐敷トンネルの近くには、女性が殺されたと噂される小屋があり、そこで怪奇現象を体験したという話がある。ある学生は友人と数人で肝試しに旧佐敷トンネルへと向かった。しかし彼らはこのトンネルでは何も怪奇現象を体験しなかった。基成なく感じた彼らは、付近を車で走ってみたのだが、そこで近くに小さな木でできたぼろぼろの小屋があるのを発見した。ちょうどいいと思った彼らはこの小屋に侵入してみたのだが、そこでも何も起きない。拍子抜けした彼らは、そのまま帰って解散したが、数日後に一人が車の事故で死亡した。

この事故が小屋に行ったことと関係があるのかは分からない。しかし旧佐敷トンネル周辺では、多くの怪奇現象が起こっているため簡単な気持ちで近寄ってはならないだろう。