神奈川県相模原市緑区若葉台5丁目14−4

都井沢トンネル

都井沢トンネルは、神奈川県相模原市緑区青葉にあるトンネルである。
このトンネルは津久井周辺の住民が八王子方面に向かうため利用するトンネル。そのため 周辺に目立ったものがなく土地感のない人はあまり利用しないためか 交通量が少ないので裏道としてあまり知られていない。 この場所は国道413号線を高尾方面に向かっていく途中の道から少し離れた場所にある

こうした立地条件や交通量も伴ってか、このトンネルには時折よからぬ物が出るという噂がかなり古くからある。

この場所で最も有名なのは、『子供を探す老婆』の霊であろう。

その昔、このトンネルでは子供2人連れの老婆がトンネルを歩いていたのだが、その時、トンネル内を走行中の車がカーブを曲がりきれず、あるいていた三人に衝突した。
この事故により、2人の子供は即死したが、なぜか老婆だけが生き残った。
その後、老婆は死んだはずの子供たちを探すためか、トンネルを頻繁に徘徊するようになった。老化により進んだ認知障もあったが、生き残った事への罪の現れだと言われている。
やがて、その老婆も老衰によりこの世を去ったのだが、それでも未練が消えず、都井沢トンネルでは老婆の幽霊が頻繁に目撃されるようになったと言われている。

この様な金輪氏居逸話以外にも、何故か現れる恐ろしい霊も存在する。

その霊の心霊談が雑誌に掲載されたのは80年代に発売された心霊スポット巡りの紹介本だった。当時の心霊スポットブームの影響もあり、メディアの露出もされたため、後にこの噂は全国的に広まる様になる。

雑誌に掲載された投稿によれば、このトンネルでは自衛隊の服を着た血まみれの男性が現れるとされている。
この霊は、車で走行した際に遭遇するとボディに手形が付くのだが、それが不思議となかなか消えないというものである。

だが、なぜ『自衛隊員の霊』なのかはまったくわからない。
神奈川県内には「座間分屯地」「厚木航空基地」「横浜駐屯地」の三つがあるが、どれも相模原市内ではない所か、このトンネルから随分と離れた場所にある。

そのため、全国的にみても珍しい『自衛隊員の霊』が現れる場所としてはかなり不自然さが残る。

自衛隊員に纏わる心霊話は確かに存在する。だが、有名な『硫黄島』や『幽霊レンジャー隊員』の話など、どれも大戦のなごりや訓練中の事故などの曰くが元となっており、自衛隊の敷地外で、しかもこのようなまったく関係の無い土地での霊現象はかなり珍しいと言わざる負えないだろう。

だが、一たびこのトンネルを訪れれば、幾多の幽霊の噂が上った原因も一瞬で理解できるだろう。

200メートルはあるトンネルの中は照明こそ付いているものの薄暗く、しかも壁はかなり老朽化して、ところどころに大きな罅などが見える。車で走行するのもかなり恐ろしいだろうが、徒歩で歩くとなるとその恐怖は相当のものだと思われる。

また、多のトンネルと同じく、ここでもクラクションを鳴らすとなんらかの霊現状が発生するといわれている。

その他に、このトンネルの津久井側の出入り口には交通安全を祈る地蔵が設置されている。この地蔵は件の双子の事故死を弔うために作られたと言われており、いまだこの地蔵には真新しい花が供えられている。

トンネルの心霊スポットにまつわる多くの噂の中でも、双子の事故死と老婆の霊の噂はなんともいえない悲しさを感じさせる物語である。

もしも、このトンネルで双子を探す老婆の霊に出会ったならば、彼女とその孫達の冥福を静かに祈りたいものである。