集落の水引役をしていたおじさんに教えてもらった話。
おじさんが若い頃、集落の寄り合いで、誰かが話しているのをたまたま聞いたという。

中辺路町野中というところにある老人がいた。その人は自分の田んぼが夜な夜な猪に荒らされるので、小屋を作って朝まで見張っていた。
ある晩、小屋の中で火を焚き、座っていると、屋根の上からゴソゴソ何か音がする。
何だ?と思っていると、不意に屋根から山刀が小屋の中に突き出てきた。
たき火に照らされて、刀身が銀色に光っていたという。
しかし、その人は肝が据わっていたのか全く慌てず、
「やれやれ刀でよかった。これが二本足だったらえらいことだった」と言った。
すると今度は屋根から毛深い男の足が二本出てきた。
その人は素早く縄でその足を縛って捕まえてしまったという。
見てみると、大きな狸だったそうだ。

おじさんは笑い話として、この話をよく聞かせてくれました。

珍味様
怖い&コメントありがとうございます。
昔話なんかでも、人間が妖怪を出し抜く話なんかはたくさんありますよね。
私もこの話、ほのぼのしていて好きです。
どうもありがとうございました。

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こういう、言葉の機転で妖怪に一泡吹かせたりする昔話も好きです。頓知が効いた感じですね。人間も化かされっぱなしではなく、知恵比べみたいになってる所が、何となく楽しい感じです。

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鏡水花様
怖い&コメントありがとうございます。
私もこの話は好きです。昔は動物と人間の距離が今よりもずっと近かったのかもしれませんね。

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良いなぁ(*^^*)
何だかほのぼのします♡

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shibro様
怖い&コメントありがとうございます。
本当に地元のことをよくご存知で、すごく嬉しく思います。近畿のおまけ、日本のチベット、、散々言われるところですが笑
野中は清水、一方杉が有名ですね。311号を外れるとまだ旧道が多く残るところです。
宇江敏勝先生ですか?<中辺路町在住の作家
今初めて知りました笑
いえいえ本を買っておられるだけファンですよ!私は全く読んだことがないので、これを機会に勉強してみます!
ありがとうございました!

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今回も面白かったです。
野中といえば清水のあるところだったかな。広い道ができて最近は風情ある道を通らなくなりました( ・´ー・`)
中辺路に(間違ってたらすみません)作家さんがいらっしゃるのご存知ですか?新聞の広告で知って本を買いました。怪異関係の本しか買ってないにわかファンです。しかも大事に取っておいてまだ読んでないんです~。ファンって言えませんね…

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ttttti様
コメント頂きありがとうございます。
おっしゃるように、化け物等ではなく山刀が出てくるのが、却って本当らしいかもしれません。
個人的には牧歌的で好きな話です。
ありがとうございました。

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岩坂トオルさん
狸が化けるものが、取り留めのない者であることで、より現実身を帯びた噺となっていますね。
今回も興味深い噺でした。

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