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●生態

 南極ゴジラは今から60年以上昔である1958年に第一次南極観測隊員を南極に送り届けた海上保安庁「宗谷丸」の船長が目撃した水棲生物。頭部は馬か牛のような輪郭で、全身は10cmほどの黒褐色の体毛でおおわれていたと言う。耳はとがっており、頭の大きさは70cm〜80cmと大きい。

●正体

 南極ゴジラ目撃の詳細についての資料は「宗谷丸」成長の松本氏が執筆した『南極輸送記』のみである。1958年2月13日、宗谷丸は昭和基地の近郊の海でその物体を発見した。それは宗谷丸から500mほど前方に浮かび上がり、300mまで近づくと動物だと分かった。さらに近づくとそれは奇妙な生物だと船員の誰もが理解したが惜しくも撮影は失敗した。その形から陸生生物だと考えられている。当時映画「ゴジラ」が流行していたこともあり、この生物を南極ゴジラと命名した。

 目撃されたのはこの一度だけであるため、その正体は不明のままである。その正体について、クジラ説、アザラシなどの説が出たがいずれも特徴には該当せず、長期の航海の疲労から集団幻覚を見たのではないかとも言われている。

 南極ゴジラの正体は何なのだろうか。南極は過酷な環境であるため棲息できる生物は限られている。南極周辺に棲息する生物と言えば、クジラ、イルカ、アザラシ、オットセイ、ペンギンなどだが、まず体長が大きくても1m程度のペンギンや2m程度のアザラシは「70cm〜80cm」という頭部の大きさから考えられない。

 イルカは大きくて4m程度、アザラシの最大種であるミナミゾウアザラシは4.5mほどになる。しかしイルカは形状や、全身を覆う体毛という観点から大きく離れている。またアザラシもとがった耳などもたず体毛もないため南極ゴジラではないと思われる。

 次に考えられるのがクジラ説だ。クジラは最大のものになると体長30mにもなり、頭部だけでもかなりの大きさだ。大きさだけ見るとこの目撃された生物くらいは充分にあるが、これもとがった耳、体毛、馬か牛のような頭部という特徴からはかけ離れている。

 これらの理由から南極ゴジラは現在確認されていない新種の生物、もしくは太古の古代生物であることも考えられる。目撃された生物の形態に照らし合わせて考えると、デスモスチルスという動物に似ていることが分かる。デスモスチルスとは中新世中期から後期にかけて存在した哺乳類で、巨大な頭部を持つカバに似た半水棲動物であるとされる。馬や牛に似た頭部、とがった耳、全身を覆う体毛という特徴にあてはまるが、もしも南極ゴジラの正体が絶滅したデスモスチルスだとすると大発見である。

 その他の南極のUMAというと有名なのが「ニンゲン」である。南極ゴジラが一度しか目撃されていないのに対してニンゲンは何度も目撃されていると言う。ニンゲンは数十メートルもの体長を持ち、その形は人間に似ているという。もしかしたら60年前に目撃された南極ゴジラと現代相次いで目撃されているニンゲンのは同じUMAなのかもしれない。まだまだ海には謎が多く、未知の巨大生物が存在していてもおかしくはないのだ。今後調査が進み、その正体が明らかにされることが期待される。