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生息地:ニュージーランド沖?
大きさ:体長約10メートル
特徴:約1.5メートルの首、ヒゲの生えた左右両側のヒレ、約2メートルの尾をもつ
推測される正体:ウバザメ、プレシオサウルスの生き残り

ニューネッシーは日本の漁船が発見した巨大水棲獣の腐乱死体である。
ニュージーランド沖で日本の漁船がネッシーを釣り上げた!?1977年このニュースが世界中に一大センセーションを巻き起こした。4月25日、ニュージーランド・クライストチャーチ沖、約50キロの地点で操業していた遠洋漁業のトロール漁船、瑞洋丸は、網にかかった体長約10メートルの生物の死体を引き上げた。死後すでに1ヶ月は経っているようで、全身が腐敗、凄まじいにおいを発し、腐肉は汁となり、甲板にしたたっていたという。重さは約1.8トン、太い胴体からは1.5メートルの長い首とヒゲのようなものが先に付いた前ビレ、後ヒレ、約2メートルの尾が生えている。瑞洋丸の船員たちは、その腐臭は魚のものではなかったこと、首や尾の骨もサメなど魚類のものとは違っていた証言している。残念ながら漁船には腐った死体などを置いておくことはできない。そのまま海に投棄することになったが、栄養管理士として船に乗っていた矢野道彦氏は写真を撮影し、骨格を詳細にスケッチ、さらにはヒレの先に伸びているヒゲのようなものを40本ほど抜いて日本に持ち帰ったのである。
そして謎の腐乱死体の写真が新聞に掲載されるや否や、日本中だけではなく世界中に一大センセーションを巻き起こしたのだ。その写真になった死体の形状は、首長竜プレシオサウルスのように見えたため、「ニューネッシー」とよばれるようになった。気になるのはニューネッシーの正体である。東京水産大学などによる矢野氏が持ち帰ったヒゲの科学分析によれば、サメ類に近いアミノ酸含有量であり、採取したコラーゲンのマウスへの投与実験からウバザメではないかという結論に達したのであった。ウバザメの死体から柔らかい肉が落ち、首長竜のような形になったのか。だが、ウバザメにはヒゲ状の組織はなく、矢野氏のスケッチ、船員たちの証言では明らかに後ヒレがあったことはわかっている。本当にプレシオサウルスの生き残りの可能性も捨てきれないのだ。

ニューネッシー騒動が冷めやらぬ1978年8月、一部のテレビが外電を伝える形で、こんなニュースを流していた。いわく、ソ連がニュージーランド沖に捨てられた正体不明の生物の回収に乗り出した、と。いくら巨大生物とはいえ、広い海に投棄された腐乱死体を発見できるわけがないと、多くの人は思ったはずだ。しかし事実は違った。日本が正体不明の生物を発見したというニュースが流れた際、モスクワ大学に所属するソ連科学アカデミーの学者たちは並々ならぬ関心を抱き、この調査をさせてくれるように、クレムリンに直々、申し入れを行った。捜索な難航したが、12日目にようやく発見したときには、体の半分以上がちぎれており、ヒレもかなり失われているという状態だった。かろうじて肝心の頭部と胸部、すなわち上半身が残っていたので助かったが、失われた部分については、あたりをくまなく捜索したもの、結局、発見することはできなかった。こうして1977年8月10日に、ニューネッシーは再び水揚げさて、そのまま急速冷凍されたという。
回収されたニューネッシーの死骸は、フィンランド湾のサンクトペテルブルクから西に24キロあるコントリン島へと運ばれた。最大の軍港サンクトペテルブルクに運ばれなかった理由は不明だが、少しでも隔離した場所が適当だと判断されたのかもしれない。
ソ連の研究者は回収された死体を詳細に分析し、ニューネッシーは長い首と小さな頭をもった未知の哺乳類であると結論を出した。そこには、まだ化石は発見されていないものの、恐竜と同じ時代に棲息していたであろう古生物の生き残りというニュアンスが含まれている。