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生息地:アルゼンチン・パタゴニア
大きさ:体長5~40メートル
特徴:長い首に小さな頭。コブがあり、毛皮のような皮膚、足にはヒレ状のもの。
推測される正体:プレシオサウルスの生き残り、魚竜イクチオサウルス、ナマケモノなど

ハワイ在住のUMA研究家エドワード・J・スミスのS-ファイルにもいえることであるが、世に知られない極秘情報の多くは軍事関係である。改めて強調するまでもないが、世界最強の軍隊はアメリカ軍である。一般の人間がまったくあずかり知らない軍事の世界では、世の常識が通用しない。UFOにしろ、超能力の問題にしろ、かの世界では常識である。UMAと軍事にいったいどんな関係があるのかと疑問を抱く人もいるだろう。UMAについては遺伝子的価値がある。アメリカが国家的戦略のもとに世界中の植物の種子を集めていることは有名だが、動揺に動物の遺伝子も積極的に集めている。病気や薬など医学的分野で遺伝子情報はきわめて重要な意味をもつことはいうまでもない。だれもが入手でき、解析できるような遺伝子よりも、希少生物の遺伝子のほうが価値が高い。アメリカ軍が注目しているのは、まさにこれである。
ナウエリートの生息地は、アルゼンチンのパタゴニア地方のナウエルウアピ湖である。最初の記録は1897年だが、それ以前から原住民が伝えてきた怪獣である。目撃証言は絶えないものの、真贋論争を招いた写真も多数公表されている。1910年に会社経営者のジョージ・ギャレットが湖面から首を突き出した水棲獣を目撃したのが記録に残る最初である。そして最も注目すべきは首都ブエノスアイレス動物園長クレメンテ・オネッリ博士がその実在を信じて「プレシオサウルスの生き残り」説を発表した。彼は、1922年に民間から寄付を集めナウエルウアピ湖へUMAハンターとして乗り込もうとした。しかし、携行品にゾウ撃ち銃やダイナマイトがあったために探索許可の取り消し申請が出されるなど、大きな話題を提供した。
この一連の騒動が欧米にも報道されナウエリートは世界に知られるUMAとなった。しかし1933年にはネッシーに世界の人気をさらわれてしまった。約30年後の、1960年にはアルゼンチン海軍の潜水艦が追尾されるという騒動も起こり、ナウエリートが犯人として浮上している。
そして2006年4月、再びナウエリートが認識される事件が起こった。パタゴニアの新聞社に突然男が入ってきて受付嬢に封書を渡した。そのなかにナウエリートが顔を覗かせた写真が3枚入っていたのだ。身元を明かすこともなく写真を置いていった男性の正体はいまもって不明である。また2008年11月、スペインで公開されたナウエリートの写真についても様々な議論が巻き起こった。
ナウエリートの正体としては、プレシオサウルスの生き残り説が根強いが、当地でよく化石が発見されるイクチオサウルス説も有力だ。だがパタゴニアの湖沼の形成は、恐竜時代より数千万年後であること、さらに寒冷地であることが、この首長竜や魚竜の生き残り説の弱点となっている。ほかには、この地で500年前に絶滅した巨大ナマケモノであるミロドン説などもある。ちなみに、インカの先住民時代から目撃例が続き伝説となっていたナウエルウアピ湖の怪獣は、昔の1ペソ紙幣にも描かれている。