アム・フィア・リア・モーア

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アム・フィア・リア・モーアはイギリスのスコットランドにあるベンマクドゥイ山で目撃された人型の未確認生物だ。
アム・フィア・リア・モーアとは、アイルランドやスコットランドで現在も使われているゲール語の呼び名で、英語ではビッグ・グレイ・マンを意味する。
巨大で毛深い猿人の姿をし、ビッグフットのようだといわれている。
標高1309mのベンマクドゥイ山はアイルランドを含むイギリス諸島で二番目に高い山だ。その山頂近くで19世紀からたびたび登山者に目撃されてきた。
最初に目撃報告をしたのは、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの教授ジョン・ノーマン・コリーだ。コリーは有機化学の研究者としてだけでなく登山家としても有名だった。1895年に世界で初めて8000m級の登頂を目指し、ヒマラヤのナンガ・パルバットに挑んで失敗したイギリス遠征隊の一員だった。
1925年にコリーは所属するスコットランドの登山クラブ「ケアーンゴーム」の講演で、1890年に体験した不思議な出来事を発表した。
コリーは単独でベンマクドゥイの登頂を終え、下山を始めてまもなく何者かが後を着けてくる足音を聞いた。歩幅は自分より3~4倍もあると感じられたが、霧で何も見えなかった。恐怖を感じながら森林地帯に下山するまで足音は続いた。彼はこの体験について35年も沈黙を守っていたことになる。
コリーの講演は話題を呼びマスコミに取り上げられたため、同じ様な体験をした複数の登山家が名乗りを上げたため、アム・フィア・リア・モーアの存在が広く知られるようになった。
1939年に放送局のジャーナリスト、アルスティアー・ボースウィックが出版した登山書に二件の体験談が紹介されている。
そのうち登山家のアレキサンダー・ケラスの話は、20世紀の変わり目頃に兄弟とベンマクドゥイに登った際の体験談だ。彼らは霧の中で足音を聞き、さらに巨大な人影を見た。それは足が長く、高さは180cm以上あった。これは初めてアム・フィア・リア・モーアを目撃した報告になる。
ケラスは1921年にイギリスの第一次エベレスト遠征隊に加わり心臓発作で死んでいる。
1943年には博物学者で登山家のアレキサンダー・テュニオンが、携行していた銃で人影に発砲し逃げ帰っている。
多くの目撃情報を総合すると身長は3mから6m、身体は褐色の短い毛で覆われている。頭と首は身体に比べて大きい。顔はオリーブ色、耳は鋭く尖り、鋭い爪を持つ足は手の指よりも長い。足はとても長いが、手は人間よりも短い。巨大な足跡を発見した者がおり、長さが48cmもある写真が撮られている。
アム・フィア・リア・モーアが目撃されたのは霧の中で、ほとんどが単独の登山者であることから、懐疑的な人々はたんなるブロッケン現象で足音はコダマか幻聴に過ぎないという。
目撃情報には人影が帽子を被っていたという話があり、ブロッケン現象と推測されている。
だが、ブロッケン現象は18世紀後半から登山家の間では広く知られている。自分の影が霧に投影される自然現象だが、低く垂れ込めた霧と日差しが一定の角度でないと発生しない。
アム・フィア・リア・モーアはベンマクドゥイで起る怪異の話が伝わり、登山者が生み出した幻影というのが大方の見解だ。しかし、未確認生物の存在を信じる人々はイエティと同様な新種の生き物だと主張している。