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目撃例があるのは2008年、原宿。
都内有数のパワースポットであり、同時にスピリチュアルスポットとしても名高い明治神宮に出現したといわれる謎の存在が「ガス人間」である。
この存在は2008年に明治神宮を参拝中の女性によって写真を撮影されて話題となった。
目撃者によると「ガス人間」とは、その名前の通り人の形をしてはいるが、まるでガスのように半透明で、気体のような存在であったという。
しかもこのガス人間、目撃されたのは単体ではなく親子連れだといい、撮影した女性は人ごみの中を前方から、ガス状で半透明に見える親子が歩いて来るところを目撃。
写真に撮れば写るかもしれないと判断し、咄嗟にシャッターを切ったという。
撮影された写真には、周囲の人物は問題なく写っているのにもかかわらず、中央の親子連れのような姿だけピンボケしている。
親子連れだけが霞がかかっている様子は、まるで気体のようだった。
その様子から「ガス人間」と呼ばれるようになったのだが、この「ガス人間」という言葉は実は50年前から存在している。

もともとは東宝から1960年12月11日に公開された、特撮映画「ガス人間第一号」という映画がある。ガス人間という言葉はここで初めて登場したようだ。
俗に言う変身人間シリーズの第3作として製作されたもので、特殊撮影の責任者を後にウルトラマンの生みの親となる円谷英二がつとめている。
違法な人体実験によってガス人間にされてしまった犠牲者が、恋人の為に銀行を襲う、というような内容で、英題:The Human Vaporとしてアメリカでも公開。オリエントな要素が受け、映画は大ヒットしたのだという。
2008年に目撃され、写真にも撮影された「ガス人間」の親子は、もちろんこの映画とは関係ないと思われる。

それではガス人間の正体は何か。
ガス人間の親子が目撃され写真を撮影された2008年の明治神宮だが、明治維新140年、戦災から社殿が復興して50年という節目の記念の年を祝い、「アカリウム」というライトアップイベントと共に、神前の特設舞台で伝統芸能の奉納なども行われ、非常に賑わいを見せた年だった。
注目したいのはこのイベントの期間、明治維新140周年を記念して、宝物殿では「明治天皇と維新の群像」という展示が開催されていたということである。
この展示には、明治維新で活躍した者たちの遺品などが展示されていたそうで、このためガス人間の親子とは、幕末に亡くなった霊(かつて遺品の持ち主だった人々)がご威光に導かれて出現したのではないかとも言われている。
つまりこの理由が当てはまるのであれば、ガス人間は未確認生命体というよりも心霊的ななにかという事になる。だが展示とご威光に導かれて心霊的ななにかが姿を現したのであれば、ガス人間は親子だけではなく、他にも目撃例が報告されていてもおかしくない。

だが一部では心霊的な現象などではなく、映画の「ガス人間」のようにガスのようになんらかの理由でガス化してしまった人間のことではないかとも言われているが、定かではない。

目撃者の女性は、同じ明治神宮の敷地内で「ゴム人間」と呼ばれる謎の存在を目撃、同じく写真に収めており、この女性と明治神宮という場所的な何かが作用しているとも考えられなくもない。
さまざまな説が考えられるものの、現時点では報告された他の目撃例も無く、「ガス人間」が何者なのかは依然判明していない。