メテペック・モンスター

タグ

cover

"メペテック・モンスターはメキシコの農夫が捕獲したといわれる不可思議な生き物だ。一時はエイリアンの子供として世界中の注目を集めた。海外ではメペテック・クリーチャーやエイリアンの子供の名で知られる。
メキシコ州メペテックの町に住む農夫、マリオ・モレノ・レペスは2007年5月11日に、ウサギを獲るために金属製の罠を仕掛けた。ところが罠に捕らえられていたのは見たこともない生き物だった。身長は70cm程度と小さく、頭は後頭部に向けて細長い。長いシッポがあり、一見すると類人猿のようだが、マリオは高度な知性を持つエイリアンの子供ではないかと考えた。
この生き物が捕獲されたメペテックはUFOの目撃が多く、ミステリー・サークルの多発地帯でもある。
捕まった時にはまだ生きており、暴れたためマリオは生き物を溺死させたという。
疑り深い地元の住民は爬虫類か皮を剥がれたリス猿ではないかと考えた。
メキシコの代表的なUFO研究家、ハイメ・マウッサンはその死骸を30万ペソ(2万3000米ドル)で買い取った。マウッサンはメキシコ国立自治大学とアメリカのマイアミ大学で教鞭をとるジャーナリストでもある。これが偽者ではないとする彼の発言は、疑り深い人々を納得させた。
のちに、マリオは不可解な車の火災で死を遂げている。それは通常の火事ではありえないほど高温の火だったという。熱狂的なUFO信者は、エイリアンの親が子供を殺したレペスに復讐をしたと信じた。
マウッサンはこの生き物の死骸をメペテック・モンスターとして世界に発表し、各国からマスコミが取材に訪れた。報道されたモンスターは手のひらに乗る大きさで、エイリアンのミイラとして知られるようになった。
メペテック・モンスターはマウッサンによってDNA鑑定やX線検査が行われた。しかし、科学的な調査をもってしても、その正体を解明できなかった。
日本では2008年に「ビートたけし緊急報告 禁断のスクープ 大暴露!!超常現象マル秘Xファイル」で取り上げられて有名になった。
2009年にはアメリカのケーブル・テレビ局、ヒストリー・チャンネルの人気シリーズ「モンスター・クウェスト」がメペテック・モンスターを特集した。番組でも独自にDNA鑑定を行い、調査にあたった遺伝子学者は、いかなるものにも分類できないという歯切れの悪い結果となった。その後、DNAの再検査は行われず、続報もなかった。
ところが、翌年の2010年になって、メペテック・モンスターの正体が判明する。
獣医の助手アンヘル・パラシアス・ヌニェスが作った偽者だったのだ。この男、実はマリオの甥で本名はウルソ・モレノ・ルイスという剥製師だった。
ルイスがインターネットのフォーラムでどのようにしてメペテック・モンスターを作ったか白状している。リス猿の死骸から皮を剥いで耳を取る。そして様々な動物から集めた毛と血をまぜて身体に詰め込む。最後に乾燥させてミイラにしたという。
この作り物をマリオが発見者としてマウッサンに売り込んだのが真相だった。ルイスはさらに自己弁護を展開している。自分がメペテック・モンスターを本物だと主張したことはない。マウッサンがそう信じた。4年の間、自分の作品が世界の注目を集め、科学的な調査が行われるのを見るのは愉快だった。
"