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"未確認動物UMAの一つである多足蛇。
その名の通り、足のたくさん生えた蛇の事である。
想像するだけで気持ち悪い生き物だが、この生物が存在していたと証言する一人の動物学者がいるのである。
それが、ペーター・アーマイゼンハウフェン博士だ。
この博士は、世界各地の珍獣や幻獣を数多く集め、その観察記録を膨大に残したまま、姿を消したとされている。

その観察記録が発見され、それが一冊の本にまとめられた。
秘密の動物誌という本である。
この本の中には、多足蛇だけでなく空飛ぶ象や火を吹くトカゲまで登場する。
ここまでくると信憑性が怪しまれるが、実際にはやはりこの本はフェイクであったと著者のあとがきに記されている。
ペーター・アーマイゼンハウフェン博士は架空の人物だったのである。
という事は、多足蛇も架空の動物だったという事になってしまうのだ。

しかし、空飛ぶ象や火を吹くトカゲはさすがに架空の動物だと納得できるが、多足蛇はどうだろう。
蛇は進化するにつれ、足を必要ないとし、退化したとされている。
ということは、昔蛇には足があっという事である。

実際に、現代においても各地で足の生えた蛇は発見されている。
中国で発見された蛇は、胸のあたりから太い大きな一本の足が生えていた。
指は四本あり爪まで生えているその足は、ワニの足のようでもある。
蛇の骨格には、お尻に近い部分に退化した足の跡が残っているが、胸には全くそれはないという。
しかし、この蛇は胸から足が生えていたのである。

また、ワシントン州でも約1cm程の小さな足が、お尻より手前側に二本生えている蛇も見つかっている。
日本では、羽生で足のある蛇が発見され、供養されたして碑が残されている。
また、ホルマリン漬けにされた足のある蛇もテレビ番組で紹介されている。

蛇の奇形には、頭が二つのものなどは存在するが、足が生える奇形というのは学者も聞いたことがないと言う。
何らかの原因で奇形になった蛇ではないという事である。
という事は、やはり蛇には足があるものも存在するという事になる。

このように、多足ではないが足のある蛇は確実に各地に存在しているのである。
足の生えている位置もそれぞれ異なることから、蛇はやはり体の各部から足が生えていたのではないだろうか。

秘密の動物誌に描かれる多足蛇は、長い胴体の6カ所程から2対の鳥のような足が突き出していて、その足でしっかり立っている。
その姿は、まるで恐竜のようでもある。
そして、その足で俊敏に行動するのである。
補食する際には、動物に消化液を吐きかけ、その効果が現れるのを待つとされている。
俊敏に動き補食する姿は、もうすでに蛇とは大きくかけ離れている。

この本に登場する多足蛇とまではいかなくとも、実際に多足蛇は存在していた、もしくは存在しているのではないだろうか。
その足で地面にしっかり立つとまではいかなくとも、ワニやトカゲのように足をつかって這うように歩くのではないだろうか。

もしくは、蛇がまた自身に足が必要だと考え、進化を始めているのだとすると、それも非常に興味深い事ではないだろうか。
発見されている蛇は、多足蛇へと進化を遂げる途中の蛇と考える事もできるのではないだろうか。
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