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ドッペルゲンガーとは、自分とそっくりの姿をした分身を自分や第三者がみる現象を指す。ドッペルはドイツ語で写しやコピーを意味する。ドッペルゲンガーの特徴として、周囲の人間と会話しないことや本人に関係のある場所に出現するなどが挙げられる。また、ドッペルゲンガーを見るのは、死が直前に迫っている時だといわれている。

ドッペルゲンガーの目撃例は数多く存在する。アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンや日本の芥川龍之介、帝政ロシアのエカテリーナ2世などの著名人が、自身のドッペルゲンガーを見たという記録も残されている。19世紀のフランス人のエミリー・サジェはドッペルゲンガーの実例として有名で、同時に40人以上もの人々によってドッペルゲンガーが目撃されたといわれる。

また、ドッペルゲンガーは脳の異常が原因とする見方も存在する。医学において自分の姿を見る現象を「autoscopy」と呼ぶ。スイス・チューリッヒ大学のピーター・ブルッガー博士の研究によると、脳の側頭葉と頭頂葉の境界領域に脳腫瘍ができた患者が自己像幻視を見るケースが多いという。この脳の領域は、ボディーイメージを司ると考えられており、機能が損なわれると、自己の肉体の認識上の感覚を失い、あたかも肉体とは別の「もう一人の自分」が存在するかのように錯覚することがあると言われている。