ある女子高生が、不思議な占いの話を聞いた。

真夜中にカミソリを口に咥え、水を張った洗面器の中を覗きこむと、そこには【未来の結婚相手】の顔が映るのだという。

興味を持った彼女は、その日の夜にさっそく試してみた。

ところが、やはり洗面器に映ったのはカミソリを咥えた自分の顔だけ…

(そうよね、未来の結婚相手なんて映るわけがないわよ。私バカみたい…)

そう思った彼女は思わず笑ってしまい、カミソリを洗面器の中に落としてしまう。するとカミソリが洗面器に落ちた瞬間、洗面器の中の水が真っ赤な血のような色で染まった。

驚いた彼女がよく見ると、洗面器に入っているのはやはりただの水。

彼女は目の錯覚かなにかであったと思い、そのことはすぐに忘れてしまった。

それから何年かが経ち、彼女もすっかり大人になった。
そんな彼女には一つ悩みがあった。恋人のことだ。

彼女には素敵な恋人ができた。

優しくて、話が面白く、頭も良い。

しかし、何もかも完璧と思えるこの彼にも一つだけ変わっているところがあった。いつも大きなマスクで顔を隠していたのである。

はじめて会った時、彼は「風邪を引いているから」とその理由を説明し、彼女もそれを信じた。ところが2度目に会った時も、付き合い出してからも彼は決してマスクを外そうとはしてくれない…

ある日のこと、彼女は彼に「マスクを外して、ちゃんと顔を見せて欲しい」と頼んだ。

すると彼はあっけないほど簡単にその求めに応じ、マスクをはずして彼女の方を振り向く。その顔を見て彼女は驚いた。

彼の顔の横には、とても大きな傷跡があったのだ。

鋭い刃物で深くえぐられたような傷…

おそらくこの傷跡は一生消えないであろう。

彼女は恐る恐る傷のことを彼に尋ねた。

「その顔の傷はどうしたの?なにがあったの?」

すると彼はこう答えた。

「お前がつけたんだろ!」

ぬーべー

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