アンダカ

アンダカ( Andhaka)とは、インド神話に登場する魔神である。暗闇から生まれ、その名は「盲目の者」を意味する。千の腕と頭、二千の目と足を持つとも云われる。
ヒンドゥー教における最高神のひとりシヴァ神と、その妻パールヴァティーの三番目の息子として生を受けるが、母に疎まれ悪魔に育てられる。その後、成長したアンダカは母パールヴァティーに懸想し、父シヴァによって滅ばされている。

【概要】
ある時、破壊の神シヴァが瞑想をしていると、退屈した妻パールヴァティーが、戯れに両手でシヴァの両目を塞いだ。すると、たちまち世界が闇に覆われた。
そして、シヴァとパールヴァティーの汗から、ぼさぼさの髪をした暗闇の悪魔が、踊りながら生まれ出たという。この暗黒の闇から生まれた恐ろしい盲目の子は、「盲目の者」を意味する「アンダカ( Andhaka)」と名付けられた。
(因みに、世界が闇に覆われたこの時、シヴァの額には怒りによって第三の目が開いたと云われている。その第三の目は炎を噴き出し、ヒマラヤの山々を燃やして、世界を再び明るくしたとも云われている。)
アンダカはこうしてシヴァとパールヴァティーの間に生まれたが、その恐ろしい姿のために母パールヴァティーに拒絶されてしまうのである。

ところで、アスラ神族の魔女ヒラニヤネートラ(Hiranyanetra)には子供がいなかった。彼女は息子が生まれることを祈って苦行に励んでいた。
そこでシヴァは、アンダカを里子として、魔女ヒラニャネートラに預けることにした。その際、もしアンダカが世間に憎まれたり、母パールヴァティーを求めたり、バラモンを殺したりした場合には、自身でアンダカを焼き殺すことを告げたという。こうしてアンダカは、アスラ神族のヒラニヤークシャ一族のもとで、マンダラ山で育てられることとなった。
そして、成長したアンダカは、ヒラニヤークシャの国の王となった。しかし、即位した直後、彼の従兄弟が謀反を企てていることを知ると、アンダカは森へ逃れて苦行に励んだ。それは、片足で百万年以上立ち続け、自身の体の一部を切り刻み、創造神ブラフマーへの供物とする恐ろしい荒行だったという。
苦行の末、アンダカの前に創造神ブラフマーが現れ、アンダカは「目が見えるようになること」と「何者にも殺されない不死身の存在となること」を求めた。ブラフマーは、「自身の母親を結婚相手に選ばない限りは死なない」という条件付きで、この願いを聞き届けた。 不死身となったアンダカは、王国に戻って従兄弟を討つと、再び王の座に着いた。

それから数百万年が経ち、アンダカの配下の3人の将軍が、偶然洞窟でシヴァとパールヴァティーに出会った。しかし、それが神々だとは気付かずに、将軍たちは王の妃に相応しい美しい女性を発見したとして、これをアンダカに報告した。こうしてアンダカは、母とは知らずにパールヴァティーに結婚を申し込み、父シヴァと戦うことになるのである。

パールヴァティーを欲したアンダカは、まず、シヴァに化けてパールヴァティーに近付いた。しかし、パールヴァティー花の陰に隠れて逃げてしまう。
シヴァは怒り、タンダヴァ(tandava)の踊りを踊って悪魔を滅ぼす準備をする。タンダヴァとは、宇宙の創造、維持、破壊を表すと云われる勇壮な踊りであり、ナタラージャ(舞踏王)としてのシヴァの踊りである。
そして、シヴァは三叉矛でアンダカの胸を突き刺すと、これを高く掲げ、第三の目で焼き尽くしたという。

【備考】
因みに、アンダカにはアーディ(Aadi)という息子がいた。アーディは自在に変身する能力をもっており、父アンダカを殺したシヴァに復讐すべく、その機会を伺っていた。
ある時、シヴァが牛に乗っているのを見たアーディは、蛇に変身してその後ろに回ると、今度はパールヴァティーに変身してシヴァに近づいた。この時シヴァは、パールヴァティーと口喧嘩をしたばかりだったので、これを怪しんだ。パールヴァティーの身体の特徴を探したがなかったため、これを偽物と見破り、アーディを殺したという。

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