アモン

アモンとは、ヨーロッパの伝承や悪魔学に登場するユダヤ・キリスト教の悪魔の一体である。
ソロモン72柱の魔神の一人で、序列7位の強力な大悪魔とされる。ソロモン72柱とは、旧約聖書に名を残すイスラエル王国3代目ソロモン王が封印したとされる72体の悪魔のことであるが、アモンはその72柱の中で最も強靭な肉体を持ち、謎の多い存在だとされている。
また、40の軍団を配下に置く地獄の侯爵であり、口から火を吐くことから「炎の侯爵」の異名をもつ。

【容姿】
一般的には、鋭い歯を持つ梟の頭に、狼の体、蛇の尾を持つ姿が有名である。
しかし、その姿は一定ではなく、蛇の尾をした狼、または口から犬の牙が覗くワタリガラスかゴイサギの頭を持つ男の姿など諸説あるが、いずれも怪物的な姿で現れるようである。召喚者が望めば人間の姿で現れることもあるというが、その場合でも変身できるのは胴体のみで頭は鳥のままだという説もあり、正確な姿は不明である。
因みに、人間の姿で現れた場合でも、その口からは炎が吐き出されるという。

【名前の由来】
アモン(AmonまたはAamon)の名は「隠されし者、不可解なる者、計り知れぬ者」の意味をもつという。

名前の類似性や、頭部が鳥類であることから、エジプト神話の最高神「アモン(Ammon)」が起源であるという説が有力である。(アモンは「アメン(Amen)」、「アムン(Amun)」と表記されることもある。)
このアモン神の名は「隠す」と言う動詞「imen」に由来し、2本の大きな羽飾りを頂く肌の青い人間として表され、勃起した男性器を持つミン神の姿や、雄羊、雄羊の頭を持つ人間として表現されることもある。アモンは、元々はテーベなどの一部地域で信仰される神であったが、新王国時代にテーベが首都になるとともにエジプトの主神となり、さらにエジプトの太陽神ラーと習合し、アメン・ラーと呼ばれる最高神となっている。アモンは、当時信仰されていた神々を吸収し、その存在を強大化していったようである。アモンと融合したと考えられる「ミン」や「ラー」のシンボルは、ガチョウやハヤブサなどの鳥類であり、そこから悪魔としての解釈がなされ、前述のような姿に至ったと考えられる。

同じく名前の類似性から、強欲の悪魔マモン(マンモン)と同一視する説もあるが、否定的な見解が多いようである。マモンはキリスト教における「七つの大罪」の一つ「強欲」を司り、鳥の双頭をもつとされている。「マモン」とはシリア語で「富」を意味する単語であり、エジプトの神とは起源が大きく異なる点が指摘されている。
因みに、マモンは『ゴエティア』や『ホノリウスの書』などに登場する四方の王の1人アマイモンと同一視されることもあるが、これらをアモンと関係付ける根拠は定かではない。このアマイモンの名はギリシア語で「熱望する」という単語に由来するとされる。

【能力・性質】
アモンは、その姿こそ悪魔的だが、その性質は義侠心に溢れ、紳士的だといわれている。
アモンは、過去と未来の出来事に精通し、サタンと契約を交わした者にその知識を与える。人の間に不和を招くこともできるが、逆に仲違いした者との友情を取り持ち、恋愛の秘儀に通じて恋を成就させることもできるという。さらに、詩の才能に長け、 ソロモンに召喚された際には、その詩を披露して居並ぶ諸侯を感動させたといわれている。この詩は『旧約聖書』の『詩篇』に収録されている。

中世のキリスト教では堕天使とされているが、 その堕天の理由は大天使ルシファーが神に反旗を翻した際に義勇軍を率いて参戦したためだとされている。堕天後もルシファーに付き従い、その後もずっと行動を共にしているという。
そのような性質のためか、地獄での信頼は厚いといわれている。

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