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堕天使ルシファーについて

「ルシファー」というと「サタン」と同じくらいの知名度のある代表的な悪魔です。
中にはサタンと=ルシファーと思われていることもしばしばあるようですが、ルシファーとはどういう存在なのか調べてみました。

◆ルシファーの起源は?
ルシファーとはもともとラテン語で「明けの明星」という意味である。

「黎明の子、明けの明星よ。あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたはさきに心のうちに言った。「わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果てなる集会の山に座し、雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう。しかし、あなたは陰府に落とされ、穴の奥底に入れられる。」
紀元前200年頃「イザヤの書」第14章12(日本聖書協会訳『聖書』より)

この「明けの明星」がルシファーである。もともとのヘブライ語では「光り輝く者」であるし悪魔や堕天使としての「ルシファー」という意味では使われてはいない。
ラテン語訳から「明けの明星」と訳され「ルシファー」という単語が出来た。
つまりもともとの聖書には「ルシファー」は存在しなかったのである。
だがその後の神学者たちが「ルシファー」を悪魔化していく。

「そして、このような歌声は謙虚さを生み、高慢の根を断ちます。この高慢さこそ、古えよりの悪であり、「黎明に昇る明けの明星」を地に振り落とすものなのです。」
426年アウグスティヌス『神の国』第11巻15章(岩波文庫)

この「神の国」に「七つの大罪」となる、貪欲、淫蕩、金銭欲、悲嘆、怒り、嫌気、虚栄心、傲慢の「八つの想念」について書かれている。この「傲慢」の部分が「ルシファー」に当てられている。

1589年、ドイツのペーター・ビンスフェルトは、罪と悪魔の関係を記した著作を著したが、その中で、七つの大罪も特定の悪魔と関連付けている
そこでも「傲慢」は「ルシファー」があてられているのである。

このようにしてルシファーはまさに「光り輝く者」から「悪魔」へと変遷していった。
では「堕天使ルシファー」はどのような存在なのか?

◆堕天使ルシファーとは?

先にあげた「イザヤの書」第14章12で

「黎明の子、明けの明星よ。あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたはさきに心のうちに言った。「わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果てなる集会の山に座し、雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう。」
とある。

もともと天使の中でも最も位の高い最高位「熾天使」のトップであったルシフェルは神に次いで2番目に力を持っていた。
しかし神がいなければ自分がトップになり全てを支配できると思い他の天使たちに声をかけ神に対して反乱を犯してしまう。「いと高き者になろう」と思ったのである。
ここに七つの大罪の「傲慢」を当てられる理由があると思われる。

この時にルシフェルの誘いに乗らなかった天使たちもいる。
大天使ミカエルやガブリエルがその天使たちだ。
この二人のように天使の名前は~エルになっていてルシファーも天使の頃は「ルシフェル」と呼ばれていたが戦いに負け「ルシファー」になったのだ。

「さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦した」(ヨハネの黙示録第12章7節)

「勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。その使いたちも、もろとも投げ落とされた」(ヨハネの黙示録第12章8~9節)

「黎明の子、明けの明星よ。あなたは天から落ちてしまった。」

ここでの「竜」はルシファーである。
戦いに負けたルシファーは地に堕ち堕天使ルシファーとなったのである。
「ヨハネの黙示録」に出てくる「サタン」はルシファーを指すのではなくルシファーの誘いに従った天使たちを指すので「サタン」は堕天使たち悪魔全体を指す言葉として使われている。
つまり「堕天使ルシファー」はもともと堕天使たち(悪魔たち)のトップの存在なのである。

◆悪魔の位
天使にはハッキリとした位が存在する。
天使の位には、父と子と聖霊という3つの階級があり、ひとつの階級に3つの段階がある。つまり天使には合9つの位が存在する。

しかし悪魔にはハッキリとした位が定義されていない。
ルシファーに関しても本来はトップなのだが書物やサイトによって違いがある。
サタンが悪魔のトップとしてありルシファーはNo,2と書かれた物や、ルシファーがトップでベルゼブブがNo,2という物もある。

しかし、だいたいが
1,2 ルシファー≧サタン
3,ベルゼブブ(ベルゼブル)

という順番が定説のようである。