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みなさんはガープという悪魔をご存知だろうか。おそらくガープと聞くと、あの超国民的漫画のキャラクターを思い出す人も多いだろう。しかし、実はガープも西欧で悪魔、しかも大いなる力を持った西方の君主だったと知る者は少ないかもしれない。そこで今回は、ガープについて詳しく見ていこうと思う。
 ガープは、もともと天使であった。天使階級代6位、中位三隊に位置する脳天使の一角であった。有名な同階級の天使としてはラファエルなどがいる。彼らは、率先して悪魔と対峙する任務を負っていたので、天使の中で最も堕天する可能性があった。ガープもその流れを受け、悪魔との戦争の中で堕天し、悪魔の1柱となったのである。
 堕天後、ガープはすごい勢いで悪魔の中での地位を確立していった。熾烈を極める悪魔界の闘争の中でしっかりと頭角を表し、最終的に西方の王の一人になったのである。ちなみに、西方の王は二人いて、一人はこのガープ、そしてもう一人がバイモンという超悪魔であることから、どれだけガープがすごかったか想像できると思う。
 ところで、みなさんは「ソロモンの72柱」という言葉をご存知だろうか。「ゴエディアの悪魔」とも称されるこれらは、悪魔の中でも取り分け伯爵位や公爵位、または魔王の地位にある大悪魔を総称する呼び名で、様々な大悪魔が名を連ねている。有名なベルゼブブやアスモデウス、ベリアルなどもこれの1柱とされ、このガープは72柱のうち序列33位に位置してる。大悪魔群に選ばれるだけでもすごいのだが、その中でも中間に位置するほどの大悪魔であった。
 頭部にツノを持ち、背中にコウモリの羽を生やしたデーモンの姿が一番有名な姿とされているが、他にも「地獄の貴公子」との呼び声通り精悍な顔立ちをした王冠を被った姿も有名である。
 ガープを召喚する事は極めて難しいとされている。ガープは「感情の掌握」を得意とし、愛と憎悪を自在に操れることで有名で、また召喚者が求めれば哲学や自然学を教わることもできたという。しかし、ガープを召喚するためには、「太陽が南の星にあるときのみ」とされ、これは蟹座、つまり7月20日から8月20日の間でしか呼び出すことができない。また、召喚しても必ずしも呼びかけに答えるとは限らず、召喚者が「水に通じていること」が試される。
 呼びかけ時、ガープはその位を象徴するように、4人の王を従え、様々なデーモンとともに眼前に現れるという。また、彼は水の精霊をよく使役すると言われており、そのことから召喚者が水に通じていることが重要になるのだ。また召喚士と同様、ガープを除霊するためにも水の知識がないと不可能であるとされている。
 ガープ、あの国民的アニメからとても強そうな大男をイメージした人も多いかもしれない。しかし、実際は悪魔の中でもかなり博識な悪魔であり、また力で相手を圧倒するというよりは、人の心を自在に操りうまく立ち回る道化師といった印象である。召喚するにはかなり難しい部類に入るガープではあるが、一度呼び出しに答えたら最後、人の心を自由自在に操ることができるので、召喚者が望めば国を手に入れることも容易い。この能力があったからこそ、ガープは堕天後すぐに悪魔の君主にまで上り詰めたのである。もし、皆さんも「相手の気持ちを知りたい」、「相手の気持ちを変えたい」など良からぬ希望を叶えたいとするならば是非とも、ガープを呼び出してはいかがだろうか。さすれば、世を変えることは意外と簡単かもしれない。