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ラークシャサとはインド神話の悪魔のことであり、ラークシャサは羅刹天とも呼ばれ破壊と滅亡を司る神であり、仏教の天部である十二天に属する
西南の護法善神としても有名である。

ラークシャサは一つの部族があり、セイロン島を本拠地とするラークシャサ族を治めるラーヴァナによって統制されていた。
ラークシャサの王であるラーヴァナは、インドにおける魔王の1人でありラーマーヤナに登場する姿は、10の頭に20の腕と銅色の目、
輝く歯と山のような巨体を持つ魔物として描かれている。

またヤシャと同じく男女の両方があり、一般的に羅刹の男は醜く羅刹の女は美しいとされ、男をラクシャーサ、ラークシャサ、ラクササ
女を羅刹斯・ラークシャシー・羅刹女という。

その姿は多種多様であり、あるものは美しいかったり、身長が小さかったり大きかったり、太っていたり痩せていたり
目が一つしかなかったり、歯が前に飛び出していたり、顔が馬や象だったりなどさまざまなものがいたとされている。

仏教普及後は夜叉と同様に毘沙門天の眷属として仏法守護の役目を担わされ、十二天では羅刹天として西南を守護し手にした剣で
人間の煩悩を断つといわれており、図では鎧を身につけ左手を剣印の印を結んで、右手に刀を持つ姿で描かれる。

また民話ではラークシャサは悪霊の一種に近い存在である。木の上に住み、人間の身体に憑いて病気を引き起こしたり、旅人を道に迷わせる悪霊とされ
破壊者と呼ばれるランプが苦手であり、ベンガルではどの部屋にもランプを持っていく風習があるのは災いをもたらすラークシャサを除けるためと伝えられている。
実際バラモン・ヒンズー教ではラークシャサ、ラークシャシーは人間を惑わせ食らう魔物として描かれることが多い。

インド神話では悪魔として、または悪霊のような存在として語られるものであり、ラーマーヤナではクヴェーラの異母弟であるラーヴァナが
島の覇権を握りラークシャサを率いて神々に戦いを挑み、コーサラ国の王子であるラーマに退治される物語がある。

そしてラークシャサの全身は黒肌で、髪の毛が赤い鬼として描かれ、中国以東ではラークシャサの魔物としての性格が強調されており
日本地獄の獄卒と同一視され、10世紀の延暦寺の僧の源信著である往生要集では、凄惨な地獄描写にラークシャサは亡者を責める地獄の鬼として
描かれ中国全土で恐れられていた。

また十羅刹女は仏教の天部における10人の女性の鬼神であり、鬼子母神と共に法華経の善神とされている。

藍婆のラムバーは上行菩薩。毘藍婆のヴィランバーは無辺行菩薩。曲歯のクータ・ダンティーは浄行菩薩、華歯のプシュパ・ダンティーは安立行菩薩
黒歯のマクタ・ダンティーは釈迦如来、多髪はケーシニーは普賢菩薩、無厭足はラークシャシャ・チャラーは文殊師利菩薩、持瓔珞のマーラー・ダーリーは観世音菩薩
皇諦のクンティーは弥勒菩薩、そして奪一切衆生精気のサルヴァ・サットヴァ・オージョーハーリーは多宝如来と言うように一般的には人食鬼であった十羅刹女は
法華経信者の十の菩薩を守る守護神とされています。

法華経の話を聞いて、お釈迦様に法華経の信者を護ると誓いを立て、鬼神から善神になったといわれるのが現在の普賢菩薩に仕える
十人の羅刹女で、十羅刹女はそれぞれの役目を与えられている。

また羅刹女といえば法華経の陀羅尼品に説かれる十羅刹女が有名だが、八大羅刹女、十二大羅刹女としてそれぞれ名称が挙げられており
孔雀経では72の羅刹女が細かく記されている。