茨城県日立市宮田町3585

一本杉

「杉を切った、もしくは切ろうとした人に怪我・病・事故で死んでしまったり等、災いが起こる」とされる。「元は二本杉であった」という話もあり、工事関係者が切ろうとした、もしくは切ったところ、原因不明の病気または事故により死亡したというが、真偽は不明である。また、一本杉付近では昔よく事故が起こっていたが、神木として奉ったところ、事故は減少したと言う。

一本杉とは、その名の通り、一本の杉である。茨城県の県道36号線の道のちょうど真ん中の位置に突然生えている。その樹齢は450年ほどと推定されており、所有者は日立鉱山株式会社であるとのこと。現在生えているのは一本のみだが、「昔は三本杉であった」または「二本杉であった」などと伝えられている。
一本になった理由については、「工事会社によって切りたおされた」というものや、「暴風雨によって倒れた」などと言われているが詳細ははっきりしない。1974年(昭和49年)6月27日「本山の一本杉」の名称で日立市指定文化財天然記念物として登録されている。注連縄が巻かれ、地元では神木としても奉られている。
道路の中央という不自然極まりない場所にそびえ立っているこの一本杉であるが、かつてこの場所に道路を建設する際に、この杉を切り倒そうとしたのだが、工事関係者が次々と不可解な病気や事故に見舞われる現象が起こったため、伐採が中止されたという噂があるいわくつきの杉であるらしい。詳細や関係性は不明だが、この付近は戦時中に政治犯等々で処刑された方々を埋葬していた場所らしい。
また、一本杉の生えている県道36号線では、以前交通事故も多発していた。そこで、周辺の住民がこの杉を神木として祀ったところ、それまで頻繁に起こっていた事故が激減したということである。
とはいえ、こういったご利益のみではなく、逆に交通事故を誘発しているという噂もあるようだ。
一本杉の周辺の様子に関しては、やはり状況的に違和感が漂っているとのこと。舗装された県道のど真ん中にいきなり大きな杉の木が一本立っているのだからそれだけでも異様な雰囲気があるのは当然なことであるのだが、現地を訪ねてみた人によると、壮観な感じもすれど不気味さも少々感じるらしい。茨城県日立市を通る県道36号線を走っていれば、道の中央に木が生えているのですぐに見つけられる。この場所のほど近くには、こちらもまたいわくつきの心霊スポットとして有名な日立鉱山病院跡地があるが、一本杉はそこに向かう途中にある。
いくつか現在未だに起こり続けているという現象の噂がある。一本杉を逆走してしまうと、うしろから誰かが追いかけてくるというものや、突然ブレーキが利かなくなり事故に遭ってしまうといったものであり詳細には諸説ある。後ろから追いかけられる方は少々信憑性に欠ける感じがるが、怖いもの見たさから実際に一本杉を逆走してしまった人の中には、車が横転してしまったりブレーキが利かなくなってしまったりと、本当に事故に遭ってしまった例が多いらしい。
地元に住む人の足となっているだけに、ごく普通に通行している限りでは、全く何も起こらないようだが。
不穏な噂が絶えない一本杉だが、よくよく考えてみれば、交通量がごく少ない道路でもない限り、逆走などしたら高確率で対面の車両と衝突したりして事故につながるだろうという指摘は全く以ってもっともなことである。また、逆走していなくても、道路のど真ん中に立っているというだけでに、地元民以外のドライバーにとっては、夜中視界がきかない状況などから予期しない突然の大木の出現に驚いてしまうこともあるだろう。しかし、その指摘を加味したとしても、明らかに不自然で事故の原因にもなりかねないこのような木が一本のみ県道に残されてきたという事実を考えると、やはりこじつけなどではない重大な理由があるに違いないと言っていいだろう。