恐山には菩提寺という寺があるのだが、そこが本坊(本寺)というわけではない。同じむつ市にある円通寺という寺が本坊だ。つまりこの寺の住職が、恐山で一番位の高い人ということになる。

JR大湊線下北駅から降りたあと、下北交通大畑行きのバスで10分ほど行った先になるむつバスターミナルで下車。そこからさらに、10分ほど歩いたところに円通寺はある。

あたりは恐山に負けず劣らず、むき出しの岩が転がる現世の地獄かと思いきや、そうではない。のどかな市街地のど真ん中になる。当然ながら、境内も恐山のような広大な敷地があるわけではない。あの恐山の本坊にしては、少々普通すぎる印象だ。

しかし、円通寺の中には普通ではない壁が存在する。それが「幽霊がぶつかったとされる血の壁」だ。

問題の壁があるのは、本堂と位牌置き場の中間にある部屋だ。天井付近の壁には生々しい血の跡が点々と飛び散っている。壁が白い色をしているからこそ、余計に目立つ。半紙に朱墨を垂らしたような感じだ。

「先代の住職の時、恐山のほうから幽霊が飛んできました。それはあの壁にぶつかったあと、散り散りになって消えたのですが、幽霊が散った分だけ血の跡が点々とついてしまったのです。」

円通寺の住職はそう語る。

大阪府守口市の来迎寺(らいごうじ)には世にもめずらしい幽霊の足跡が残っているが、幽霊の血の跡というのも、それに負けないほどめずらしい。やはり気味が悪いので、何度が壁を塗り替えたそうだ。しかし血の跡だけは、完全に消すことができなかったという。

円通寺にまつわる話はもう1つある。本堂の奥にある位牌置き場には何千柱もの位牌がならんでいるのだが、そのうちの1柱が突然、不気味に振動を始めることがあるらしい。ほかの位牌はビクともしないのに、たった1柱だけが振動するという部分に薄ら寒い恐怖を感じる。さらにその位牌はまれに床に落下してしまうのだが、その現象が起きるとかならず近くで死者が現れるという。

落下した位牌とはまったく関係のない人が死ぬというのだから、余計に不気味だ。

円通寺の周囲でも、やはり不気味な現象が確認されている。深夜に恐山の方角から幽霊が飛んでくるところを見たという人はわりと多い。壁を塗り替えても血の跡が消せないのは、今も夜な夜な幽霊が壁にぶつかり続けているからなのかもしれない。

青森県むつ市新町4−11
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