時代の流れは時に地図から集落を消し、人々から記憶を消し、やがてはその集落の歴史そのものを消してしまう。形あるものはいずれ消えゆく。これは自然の摂理だ。しかしかつての青森県には自然に消えたというより、故意に消されたとされる集落があった。その名を杉沢村という。

まだガスや電気が届いておらず、夜になると漆黒の闇におびえなければならなかった昭和初期のある深夜。杉沢村の青年の1人が闇の魔物にとり憑かれ、突然発狂した。彼は大きな鉈(なた)を手に取って隣人の家に侵入すると、眠っている村人の喉元目がけて、奇声をあげながら鉈を振り下ろしたのだ。噴出す血しぶき、転がる首。血だらけになった青年はけたたましく笑いながら、まるでゲームを楽しむかのように、残る村人も次々と惨殺していった。そうして村人全員の命を奪い、ゲームに勝利した青年は、自分の命も絶って幕を下ろした。

近隣の村人の証言によると、その青年は村にあった、触れてはならない「何か」に触れて、発狂してしまったらしい。それでこうした大参事が起きてしまったというのだが、その「何か」を恐れた国は、誰も近づけないように杉沢村の存在を地図や公的文書からすべて抹消した。

この話はもともと、青森県に伝わる都市伝説だった。話の元ネタは有名な「津山事件」だと思われる。

しかし今から十数年前、某ドキュメンタリー番組で杉沢村の特集が組まれたことを機に、「これは実話ではないか?」と多くの人々が騒ぎ始めた。そしてネットを中心に、地図から消された杉沢村がどこにあるのか、という検証が頻繁に行われるようになった。

様々な説が浮上する中、共通する認識はだいたい次のようなものだ。村の近くの道に「ここから先へ行くと命の保証はできません」という看板がある。それを無視して村に入ると、怨霊に捕まって2度と出られなくなる。村の入り口には目印となるドクロ型の岩がある。村の中にはかつての村人の家屋が今も残っている。

問題の場所について一番有名なのが、青森市から車で15分ほど行ったところにあるAさんの私有地。杉沢村の子孫にあたる人のともいわれるが、もちろん証拠はない。また青森県郊外にある小畑沢小杉という廃集落、かつて杉沢村と呼ばれていたという説もある。こちらの場合、杉沢村はただ過疎化が進んだだけで、うわさのような事件はなかったとされている。果たして杉沢村伝説はただの都市伝説なのか、それとも都市伝説だと思わされているだけなのか。真相は不明だ。

青森県三戸郡南部町杉沢中村
40.453516
141.420912
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