広島県福山市鞆町後地

福山グリーンライン

広島県の南東部の芦田川下流域に存在する福山市。人口はおよそ46万人で広島市に次いで2番目に多いとされる中核市である。そんな福山市には「福山グリーンライン」と呼ばれる観光道路が存在している。福山市西部を流れている芦田川の河口を走ると間もなく遭遇するこの福山グリーンライン。名前を聞く限りでは何の変哲もないただの道路のようにも思えるが、実はこの福山グリーンラインは、広島県ではかなり有名な心霊スポットとして囁かれているのだ。

福山グリーンラインと言っても、その全域が心霊スポットとして囁かれているわけではない。心霊現象、もしくは怪奇現象が多発すると囁かれているのは、福山グリーンラインの間に存在するトンネルなどである。福山グリーンライン自体は緑豊かな山々に囲まれた観光道路で、高い標高から尾道水道などを見渡すことが出来る眺望の良い道路である。その景色は観光客などにも人気があり、わざわざ写真を撮りに訪れたり、スケッチに出掛けてくる人もいるという。そんな福山グリーンラインにまつわる奇妙な噂というものが、途中にあるトンネルに午前0時に侵入し、トンネル内で自動車を止めた後ライトを消すと、女の人の幽霊に遭遇するというものだ。その噂に尾ひれがついたもので、肝試しにこのトンネルへ自動車で赴き、トンネルの中でライトを消した際に、いつの間にか自動車の進行方向が逆向きになっていたであるとか、トンネルの中で突然自動車自体が動かなくなってしまったというものもある。

さらには福山グリーンラインを心霊スポットとして有名にしたであろう怖い話に、トンネル付近において夜になるとどこからともなく赤ん坊、または幼い子供のような叫び声や泣き声のようなものが聞こえてくるというものがあると囁かれている。この泣き声などの怪奇現象に関しては、先程述べた女の人の幽霊とは違い、その姿や形は目撃されることはほぼないという。ただ、この声を聴いてしまうとそのトンネルの幽霊から祟られるという話が存在する。というのも、福山グリーンラインが心霊スポットとして有名になり始めた頃、肝試しの一環としてこのグリーンラインやトンネルを訪れた若者の間で原因不明の事故が多発したり、親類や自分自身に不幸が降りかかるといった現象が数多く報告されたという。実際に福山グリーンラインへ肝試しに訪れた人々は皆、「トンネルへ肝試しに行き、その帰宅途中に自動車内で身内以外の影を目撃した」であるとか、「バックミラーを確認したとき、後部座席にいないはずの人間が乗っていた」、「エンジンが中々かからなくて故障かな?と思って車のボンネットを開けてみたら、ボンネットの中に子供の手形のような跡がついていた」という体験談を語っている。

では、なぜ福山グリーンラインが心霊スポットと呼ばれるようになったのか。その背景を調べてみるといくつかの事実が見えてくる。まず、この福山グリーンラインは昭和49年に完成した後、俗に言う走り屋と呼ばれる若者達のドライブコースとして格好の場所になっていたという。それだけでは心霊スポットにはならないが、このグリーンラインのコースは下り坂やカーブが入り組んでいたため必然的に事故が多発するようになり、そのことから死亡事故を起こし亡くなった若者が多くいたという。さらに、多く噂される子供の泣き声などの怪奇現象に繋がるであろうとある事件も発生している。実はこの福山グリーンラインのトンネル付近では以前、福山市の元市会議員の子供が誘拐され殺された後、捨てられたという事実があるのだ。実際にトンネル付近の子供が捨てられていたという場所には供養の為に設置されたお地蔵様が存在している。子供の幽霊のルーツは恐らく背景にこの事件が隠れているとみて間違いないだろう。

ただ、心霊スポットとして有名になった福山グリーンラインだが、その全ての現象が一概に心霊現象かと言われると中にはそうでないものもあるだろう。例えば、肝試し後の事故などは先程も述べたように、カーブや下り坂が入り組んだ道であることから、ただ単純に運転を誤り事故に至ったと考えるのも難しくはない。また、子供の泣き声などもトンネル内を通り抜ける風音がそう聞こえたのではないかと言われる場合もある。実際に事件や事故が多発している場所であるからこそ、人間の思い込みなども絡まって、より深く心霊スポットとして根付いているのかもしれない。

これは聞いたことがあります!怖い。

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