終末に近い世界

この映画は「終末に近い世界」を舞台とし、人間の絆と、その真逆にあるようで表裏一体な所にある人間の凶暴性をテーマにした作品であろう。
マンチェスターに向かう最中、フランクとハンナの親子の絆を観たセリーナ。
ところが、封鎖地区に着いたにも関わらず、フランクは感染してしまう。
フランクは一瞬ハンナを庇うが、すぐに完全な感染者となる。
こうなるともう殺すしかないが、ジムだけでなく“物語当初では感染した仲間を殺す事に躊躇しなかった”セリーナとも、彼らといつの間にか強い絆が芽生え始め、彼らの手で殺すという行為に踏み切れなかった。
そういった絆が芽生えているが故、セリーナとハンナが軍人の「性の掃き溜め」にされる事をジムは許すはずがなく冷静さの裏にある感染者紛いの凶暴性をもって―2人ですらジムを感染者と勘違いしてしまうほど凄惨な手段で――軍人を次々殺し、そして2人を救おうとしたのだ。
一方で、その背景こそ作中には描かれてないものの、“「女」を約束した”ヘンリー少佐と彼の配下・・・いや仲間の軍人達にも絆が存在する。
また、配下の軍人の2人に対する欲情が顕わは、まさに彼らの凶暴性の本質であろうが、ヘンリーが「女」を約束したのは、希望のない未来から仲間を救うためである。
クライマックスでもジムに仲間を殺された事に対して最も強い怒りを放っていた事から彼らに対する歪んだ絆を持っていた事がうかがえる。
序盤のホロコーストな世界観、中盤のロードムービーの丁寧さ、そして終盤の荒々しさ・・・そのどれもが深く結びついて生まれた(ゾンビじゃないけど)ゾンビ映画の異色作にして快作にふさわしい。

映像のカッコ良さを楽しむ映画

目覚めたら一人で、誰もいない街を彷徨って、そしたらウィルスに感染して凶暴化した人間達に追いかけられて…という、結構見慣れたストーリーなんですけど、

「状況把握できてないけどとりあえず目の前に転がってる食料は確保しながら歩」かす事で主人公のサバイバルの才能というか、こいつはあとあとめちゃめちゃ強くなるんですけど、その事の言い訳が序盤で出来ている気がしますし、他にも観てもらったら分かりますけど公衆電話の受話器がブラブラするところなんか撮り方が良くて、ウマイなあという感じでした。

最近の“素早く動くゾンビ”像を確立させた作品らしいですけど、その辺はあまり重要じゃないですね。ゾンビものが観たくて借りたら後悔すると思います。敢えてテーマ性を求めるなら「人間てコワい生き物だぜ」って事になるんでしょうけど、その辺も実は重要じゃないように思います。

要はストーリどうこうじゃないんですよコレも。映像のカッコ良さを楽しむ映画です。

軍人たちと合流して、モメて、クライマックスに突入すると雨が降り出すんですけどそこからは特にスピーディーでカッコ良いですね。

この雨の映り方というか、こういうのはどうやってやってるんですかね。凄く好きなんですよ。

私の観たDVDにはエンディングが2つ収録されていて、ハッピーエンドと、もう1つは主人公が死んで「まだまだ戦いは続く」的な感じなんですけど、これも編集とか映像の良さでいったら断然前者のハッピーエンドの方が良いです。

現実を描いた映画

実に様々なテーマを持った映画を撮っているダニー・ボイル監督ですが、そんな監督だからこそ普通にゾンビ映画を作るわけがありません。

本作において、ゾンビは生きている感染者にすぎず、つまりゾンビ対人間というモンスターパニックではないんですね。あくまで人間対人間の殺し合いをあけっぴろげに見せつける映画になっています。

冒頭、ウィルスの保菌者である猿に見せているモニター映像は、すべて人間の愚かしい争いの歴史ばかり。

主人公のジムは、軍人たちに蹂躙された「怒り」を最後に爆発させます。その様子を目撃するセリーナの目には、ジムの姿は感染者と変わらずに映るのです。

レイジウィルスの力など借りなくても、「怒り」の感情が暴走すれば、人間は抑制のきかない殺戮者になりうるという現実を描いた映画だと思います。

その一方で、ジムとセリーナは生き残るために終始、助け合います。

人間は殺し合う、しかし助け合うこともできる。

複雑な感情があるからこそ、人間という種は矛盾を抱えて生きていく生き物なのでしょう。人間の醜さと素晴らしさ。どちらの面も平等に描かれています。

エンディングは希望を残すものになっていますが、劇場公開バージョンとして収録されている別エンディングは、ジムが死んでしまうバージョンです。

病院で目覚めるジムで始まり、病院で息をひきとるジムで終わるんですね。

まるで、その間の出来事が幻だったのかのように錯覚してしまう締め方ですが、生き残る決意をもって旅立ってゆく女性二人が、人間の強さの象徴のように思えました。

予告編に引きつけられた作品

映画タイトル 28日後・・・

2002年に製作されたイギリス映画です。

ジャンル的にはウィルス感染ゾンビ映画。

こちらの映画は、映画館で迫力満点に鑑賞いたしました。

この映画の予告編がとてもインパクトがありました。まずは予告編から見てもらい、想像力を刺激してから鑑賞するのも面白いでしょう。

舞台はロンドン。

とある男性が交通事故にあってしまう。

彼は昏睡状態に陥るのですが、28日後・・・彼は目を覚まします。

しかし、そんな彼が目にしたものは、変わり果てた閑散とした街並み。

いったい何が起こったのか、困惑する彼。

彼は教会に入っていき・・・そこで目にしたものは。

彼が昏睡状態に陥っていた際、あるウィルスが流出。ウィルスに感染したものは凶暴化し次々と人を襲っていくのです。

不気味な雰囲気で、いつ何が飛び込んでくるかとドキドキハラハラします。

感染者達の足の速さに驚きです。

すごい勢いで駆けつけてくる緊張感。

感染者に見つからないように、隠れる緊迫感。などが伝わり、怖さ倍増でした。

人間のみに感染するのではないので、不気味なカラスの映像がとても目に焼き付く場面も。

この映画の面白いところは、エンディングが二種類あるところです。

希望が持てるエンディングと、そうでないエンディング。

もちろん二種類とも鑑賞することをおススメいたします。全く違ったラストです。

個人的には希望が持てるエンディングがやはり一番しっくりきましたが。

そして、この映画には続編があり、「28週後・・・」も、合わせて視聴するとより面白いかもしれません。 派手すぎるアクションもなく、独特の雰囲気が私的には大満足の映画でした。

う〜ん、洒落てる

この作品を、単なるウイルス系ゾンビ映画な〜んて思っていたら大間違いですよ。

ストーリー自体は、『凶暴性』をむき出しにしてしまうウイルスが蔓延したロンドンを舞台に、感染を免れた人々の生き残りをかけた戦いを描く…といったこれと言って捻りのないアリキタリの作品なんだけどねぇ。

でも、ダニー・ボイルが、その独特の世界観でこの絶望的世界を見事に表現してしまいましたね〜。

音楽や映像に非常にこだわってるのが観ていてよ〜く分りました。そして、それは絶望的なシーンよりもむしろ希望を見出すようなシーンでこそ存分に発揮されてるんだよね〜(ここがイイんです)

僅かな希望を持って1本の長い道を走る車のシーンや、馬の家族が優雅に走ってるシーンなんかは、その絵の美しさに魅せられること間違いなし!

後半では、正常な人間同士の争いとなり、感染してない人まで狂気に変えてしまう状況が怖いです。

最近、他の映画でも思ったんだけど、ヨーロッパの作品はアメリカと違ってシュールだね(魅せられたな〜って思っちゃいます)

かつてないほど凶暴で、追いかけ方が尋常じゃないほど速い感染者…のわりには、けっこう諦めがよかったりして(追いつけないと分かるや、立ち止まってボー然と見送ってたり)

主人公のキリアン・マーフィの顔色の方がむしろ感染者よりも悪かったり(笑)と…ん〜、シュールだね。

ラストは2本あったけど、これはハッピーエンドのほうが好きです。

『HELLO』で始まり『HELLO』で終わる…う〜ん、洒落てるな。

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