こわくない

ホラー映画を愛して止まず、大概の作品に対してはカレーの王子様レベルの甘口の僕ですが、この作品にだけは珍しくカッチーンと来ました。表現方法に違いはあれど、一応映像業界に片足をつっこんでる身なので、スケジュールとか予算とかその他諸々の要因もあるとは察しますが、何と言うか、「怖がらせる」という心意気が全く感じられず、決して怖くない、期待が見事に裏切られた形となり、なんと言っても監督は堤幸彦で、ご多分に漏れず「ケイゾク」に熱中時代した一人ですので平均値以上のフィーバーもする訳ですが、作品の目指すベクトルが、「コカコーラ」と「メッコール(麦コーラ)」の違い、とでも言うのでしょうか、そもそものターゲットが全然違う、そもそもの販売機のメーカー自体が全然違う感じで、始まった瞬間にしまった!!と気付いてしまう、初デートでフラれるみたいな、そんな悲しい映画です。
恐らく、平成生まれのキッズ達なら、もしかしたら怖がるかもですが、それ以上の年代では完全に厳しいと思います。
ストーリーはといえば、原作のゲーム版もこうだったのでしょうか?実はゲームもしっかり持ってるんですが、スーパーマリオで言えばド頭のクリボーのジャンプを失敗くらいの冒頭で死んでしまうので、逆ギレかまして、全然やってないので、主人公が男、という事しか知らないので全然分かんないのです。
まぁ、ストーリーはどうあれ、恐らく制作者サイドとしては数々の謎を残したミステリアスな仕上がりを狙ったのでしょうが、観てるこっちにしてみたら、そりゃ、謎多き展開にもなるよ。

耳について離れないあのサイレンの音

最近観た邦画ホラーの中では一番印象に残っている映画です。舞台は孤島。昔、謎の凄惨な集団殺人があったという設定からして気味悪いです。その島へ心の傷を抱えた少女がやってきて、不気味な言い伝えや住人たち、不審な出来事に巻き込まれていく的な内容でした。

ごく普通の島の風景、癒し系の島の生活がしだいに奇妙な違和感を発し始めます。その疑惑に不安が募っていく主人公の心境に、観てる自分も何度も同じ感覚に引き込まれてしまいました。

そしてなんといっても作中に何回も流れるあのサイレンの異常な音ですね。あれが流れ始めると主人公じゃなくても心がざわつき始め、早く逃げて!!って叫びたくなります。サイレンが鳴ると出てくるゾンビのような集団がもう怖くてゾッとしました。無理って感じでした。彼女を助けてくれるキーパーソンたちが逆に襲う側になったり、父親までが真っ暗な家の中で彼女を殺そうと襲いまくったりで・・・とにかく主人公がギリギリの線で逃げおおせるまでハラハラし通しです。

またホラーだけではなく、弟を必死で救おうとする家族愛みたいなのが主人公の根底にありその悲しさが全編に漂ってて涙を誘います。それがまさかの大どんでん返しにつながってるので最後まで目が離せませんでした。現実なのか錯覚なのか、気をつけないと自分もすでに術中にハマっていたみたいなことになるかもしれません。

ゲーム由来の映画ならではの独特な世界観がありますが、陰湿な昔話が現実の悪夢へ変化するという「あったら嫌だな」と思わずにはいられない映画でした。観終わった後もしばらくサイレンの音が頭の中で鳴り響いてました。

怖さなら断然ゲーム版

ちょっと期待値が高すぎたかな、と思った映画が、『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』です。

恥ずかしながら、ベースであるゲームの『SIREN』(映画版のベースは『SIREN2』だそうですが)はプレイしたことがありません。公式サイトやCMは見たのですが、それらがあまりに怖く、また難易度も非常に高いと聞いたため、諦めてしまいました。それが映画になるというので楽しみにしていたのですが、少々楽しみにし過ぎたかもしれません。

監督は『TRICK』などで有名な堤幸彦。確かに、独特のシュールな感じが出ていたように思います。

舞台は逃げ場のない孤島、しかもだんだん減っていく味方と、徐々に逃げ場のない状況に追い込まれていくというのは、好きなシチュエーションです。

しかし怖さのレベルとしては、そこまででもなかったかな、という感じがしました。全体的に、雰囲気にホラーらしさが欠けていたように思います。ゾンビのようになった人々のビジュアルも、鑑賞前にゲーム版の屍人を想像していためか、あまり怖くありませんでした。

ストーリー的にも何となく腑に落ちない点があり、オチが「主人公の狂気」だったというのも、個人的には残念に思ってしまったところです。「実は主人公にしか見えない幻覚だった」という手は、すでにそこそこ使われていますから、「最後にアッと驚く」というわけでもありません。むしろ、悪い意味で裏切られた感がありました。好みの問題かもしれませんが、やはり屍人になった島民たちは実在のもので、父親などの頼りにしていた人々もちゃんと屍人になっており、現実に絶望的となった状況の中で脱出するなり、破滅に陥るなりの結末にたどり着いてほしかったと思います。

ところで、印象的だったのは生活音でした。食器を洗うなどと言った音が妙に際立っており、リアルな感じがするのです。普通の映画と違うためか、何となく気味が悪く、好きな演出でした。実際、サウンドデザインにこだわった「サウンド・サイコ・スリラー」という触れこみだったようです。映画館で観たからこそ、この点が活きていたのかもしれません。

ゲームをプレイするのはきついけれど、映画なら観られるな、と、ゲーム版を念頭に置いて鑑賞すると、肩すかしを食らってしまう映画ではないかと思います。

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