パラサイト

映像化は無理があった。前半はよかった。久石壌の幻想的な音楽が液体の映像に溶け込んで、静かで美しい怖さを放っていた。音響効果はホラーやサスペンスには特に重要な演出だ。
液体には動き、色、音という魅力的な要素があると教えてくれた。スピードカメラによるスロー映像。
シンセサイザーのサウンドは、幻想的で狂気に満ちた雰囲気をだしていた。久石壌のピアノはさすがだったが、シーンの随所に使いすぎたのが残念だった。
音楽で助けられるような映像をなくし、音楽と映像が対等で溶け合うものであってほしい。ここぞという場面で使いたい。
人間の細胞に寄生しているミトコンドリアが、宿主である人間を支配する。実際、ミトコンドリア・イヴ説というものはある。著者が東北大学薬学部の大学院博士課程に在籍する研究者ということもあり、原作は医学用語など専門的な文章が多く難解だった。その分、移植や脳死についての知識が、物語に深みを与えた。
車輌、レールを使ったカメラワークが目立った。絵が動くことで飽きのこない映像になる。現実感はなく、ふわふわと浮いているような感覚。作品の世界観を醸し出そうという狙いだったか。
カメラは固定で、静かな怖さを美しい色調で表現してほしかった。ズームやレールでの移動という人工的な手法は、作品を軽くしてしまい、冷めてしまう。
三上博史の狂気に迫った演技には、相変わらず息をのむ。さわやかで優しい演技もできるからこそ、血走った目の狂った演技が冴える。すごい役者だ。彼の舞台もぜひ見たい。
葉月里緒菜の魔性な感じもいい。中学生の時、自由が丘にあった映画館「武蔵野館」で、この映画を見た。葉月里緒菜の演技にドキドキしたのを思い出した。
中嶋朋子の怯えた演技もよかった。演技に無理がない。本気で自然に怯えているようにみえる。
手術着が緑でなく赤。この演出はあまりに突拍子すぎた。画面の色合いがきつすぎる。
内臓や液体の動く音。誇張したリアルさに感情が高ぶられる。自然が生み出す音は、心に素直に落ちる。
後半は駄作。本作を公開した1997年当時は、液体のCGは斬新だったかもしれないが、今見るとつらい出来だ。
人体発火現象も唐突で、燃え方や焦げ方にリアルさが全くない。それなのに炎のCGを使いすぎて、興ざめた。ラストも愛の力で強引にもっていった感がある。

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