映像に支配されていく恐怖

「ビデオドローム」は、デビッド・クローネンバーグ監督の作品です。ジェイムズ・ウッズが演じる小さなケーブルテレビ局の社長マックス・レンが、刺激的な映像を探し求めているのですが、そのうちに「ビデオドローム」という映像を見つけます。これは、殺人の現場など、危険な映像を集めただけのものなのですが、マックスはその映像の刺激にすっかり入れこんでしまいます。「ビデオドローム」は禁じられた映像ですが、これほどの刺激のある映像はほかにないのです。マックスはくり返しビデオドロームを見て、すっかり中毒のようになってしまいます。そして、マックスの恋人が、「ビデオドローム」に出演するためにピッツバーグに行ってしまいます。彼女は被虐的な趣味に関心があったのでした。少しずつ、映像の世界が現実の世界を侵し始めます。マックスはすっかりビデオドロームの世界にとりつかれ、幻覚を見るようになり、しだいに狂気におちいっていきます。映像が現実の世界を浸食していくという恐怖を描いたストーリーです。ジェイムズ・ウッズの取り憑かれたような演技がすばらしく、内臓が見えたりする幻覚もリアルで恐ろしかったです。映像の世界にとりつかれ、映像の現実が本物の現実を侵しはじめる、というような感覚は、映像にふだん浸りきっている人間にとってはリアリティが十分にあるものです。ジェイムズ・ウッズはそういう映像的人間をよく演じていたと思います。自分も映像に支配されてしまうのではないか、という怖さを感じました。

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