冷たいエロティシズムの吸血鬼映画

「ラビッド」は、デビッド・クローネンバーグ監督の作品で、マリリン・チェンバースが主演しています。医療の副作用によって人類が危機におちいり、パニックが起きるというストーリーです。交通事故にあったローズが、運び込まれた整形外科の病院で、まだ実験段階にある皮膚移植手術を受けたため、人間の血液を栄養として生きながらえるという体質に変異してしまいます。わきの下から突起物を出して、その針で抱きついた相手から血を吸うと、その血を吸われた被害者は、まるで狂犬病にかかったように、暴れて人を襲うようになります。しかも、その症状は次々に伝染していくのでした。やがて、この奇病が町中に蔓延し、ついには戒厳令が発令されることになります。奇病の原因が調べられ、もともとの原因であるローズは追われるようになるのですが・・・。ラストシーンは救いのないものですが、そこに至るまで、冷静に突き放したような映像がストーリーを追っていきます。ローズを演じるマリリン・チェンバースは、いささか中性的とも思えるような冷たい美貌で、映像は冷たいエロティシズムといったような雰囲気を醸し出しています。マリリン・チェンバースは、もともとアダルト映画に出演していた女優さんということですが、むしろ凍り付くような中性的な美しさで、吸血鬼という役柄にリアリティをもたせていたと思います。吸血鬼ものは、だいたい濃厚なエロティシズムが出てくるものですが、この映画の場合、冷たいエロティシズムという感じでした。

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