B級映画

ジェット・リー主演作「キス・オブ・ザ・ドラゴン(01年)」のフランス人監督クリス・ナオンが2000年に公開された和製フルデジタル・アニメ映画「BLOOD THE LAST VAMPIRE」を実写化した復讐系ホラーがこの「ラスト・ブラッド」であります。西欧がバンパイヤなら、日本は鬼。おとぎ話の時代における桃太郎の鬼退治から平安時代の坂田金時ら四天王による鬼退治まで日本では鬼伝説がいっぱい。しかし本作が描くのは16世紀戦乱の時代に、大量に流された人間の血によって力を得た鬼と、現代に生きる人間との400年越しの宿命の対決。
舞台は1970年の東京と街並みや風俗にリアリティを求めるではなく、少し懐かしい風景として当時の雰囲気を借用しているに留まっている。特に冒頭のサラリーマンとの対決場面が真骨頂であり日本の、ワーカホリックが海外で批判されていた高度成長期の海外から見た典型的な日本人サラリーマン像を上手く再現していた。また丸ノ内線の終点が浅草だったのが地味に面白い。
サヤ役のチョン・ジヒョンも「猟奇的な彼女(01年)」の頃と印象がそのまま変わらない力強い目付きにパワフルな活躍が観る者に驚愕させます。
ベトナム戦争真っ只中で前線基地の米国軍人や子弟が何故かオニとなってサヤたちを襲うのだが、その時代背景は全く物語に生かせていなかったのは残念でもあった。
サヤは父を殺したオニゲンへの復讐だけに生きてきた少女だが、鬼退治に活用しているオニと戦う秘密組織カウンシルのリーダー、マイケルはサヤにセーラー服姿にして基地内のアメリカンスクールに潜入させた。
どことなく怪しげな高校教師ミスター・パウエルから命を狙われていたマッキー将軍の娘アリスの命をサヤが救ったことによりサヤとアリス、の間には真の友情が芽生え始める。
しかしサヤがアリスを襲ったオニ達をド派手に斬り殺したことによって、サヤはまた一方宿敵オニゲンに近づいていくことになったから皮肉なものです。
本作の大きな売り物であるオニ軍団百人斬り。サヤがバタバタとオニたちを斬りつけアクロバティックな動作まで披露して迫力満点の痛快なアクションシーンとして盛り上がり、目まぐるしいカメラワークやスローモーションを巧妙に交えたりと魅せ方に工夫が施されていることによって面白さが一段と増し、スピーディーでテンポもすこぶる良い見応えのあるアクション描写へと仕上がったのだった。
オニゲンによってサヤの父親が殺された後、その忠実な部下として幼いサヤの身を隠し、サヤに剣術と共に人間の心を教えた育ての親・カトウを演じた倉田保昭は、本当に素晴らしかったです。
1人でオニ共に立ち向かう悲痛な決心を固めたが、敢然と強力なオニ軍団に立ち向かうカトウのアクションは見モノであり一番にカッコイイと思った。
クライマックスはサヤとオニゲンの最終決戦・人間とオニの決着がつくということを意味する戦いだ。
幻覚の中でオニゲンと再会し父の仇を討とうするが、これまでアクションが目立ったためにヒロインの苦労や世界の危機を救うというモチベーションの描写が薄かった分感情移入は難しくもあります。謎めいた存在のままラストまで事実を隠してきた割りに[まさか!]と驚くほどでもなかった告白に、在り来たりな展開なのは惜しいがアジアンビューティーの二人はやはり静止画で十分だと思う。
存在感はバリバリで生々しい迫力も見事でしたがB級映画として割りきれば傑作、間違いないと思いましたね。

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