ロマン・ポランスキーの吸血鬼

ユーモアが潜んでいます

今となっては世界が誇る巨匠ポランスキーの若かりし頃の傑作B級スラップスティック・ホラーです。ポランスキーといえばサイコティックなホラーやスリラー、また大作『戦場のピアニスト』で有名ですが、そんな彼に実はあっと驚くほどのユーモアが潜んでいます。そんな一面が色濃く顕れたのが、私の愛する名作『袋小路』であり、この映画であります。
アブロンシウス教授は助手のアルフレッドを連れて吸血鬼退治の旅をしています。トランシルバニアに到着した二人は、小汚い宿に一泊することにします。そんな折アルフレッドは宿の娘サラに一目ぼれ。入浴中の彼女を鍵穴から覗いてみていると、何と突然現われた老吸血鬼にサラはさらわれてしまいます。サラを救うために吸血鬼の城にいざ潜入するのだが…というあらすじ。
映像、カメラワークが素晴らしいです。おとぎばなしのように美しい。古き良きサイレント映画を彷彿とさせます。あのスラップスティック的コマ送りのような動きが最高。さらに、主役のジャック・マクガウランとアルフレッド演じる監督ポランスキーのコンビも実に面白い。二人とも本当にいい顔をしてます。ドタバタ喜劇にぴったり。さらにさらに、シャロン・テートの可愛らしいこと!! この映画の後惨殺されてしまうのですが、実に悔やまれる!!! 本当に美しくて見惚れてしまいますよ。ため息モノ。そして、言うまでもなく、クリストファー・コメダの素晴らしい音楽。もうただただ感じてください、としか言えません。面白いシーンは本当にたくさんあるのですが、個人的にはダンス・パーティのシーンと、体の力が抜けてしまうようなラストシーンが素晴らしいと思います。
さすがはポランスキー、一筋縄にはいかぬ二転三転を用意しています。始終喜劇の色べったりなのですが、見終わった後「やっぱりポランスキーだな!」と唸らされる爽快な胸騒ぎが残ります。気持ち悪い。何か発散したくなります。

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