殺人魚フライングキラー

殺人魚との死闘

海を泳ぎ空を飛ぶ殺人魚との死闘を描いたパニック映画。
今や世界最高の映画監督の一人となったジェームズ・キャメロンの、まさかの監督デビュー作
もう、これがあのエイリアン2とかターミネーターを撮った人の映画か!?と疑いたくなるくらいヒドイもんでした。 明らかにピアノ線かなにかで吊したようなフライングフィッシュが人間をぐいぐい食い千切りますが、序盤は割と、平和なビーチの日常が広がっているんですよね。
トビウオとかハゼとかを組み合わせて作られた空飛ぶ魚がリゾートを舞台に殺戮の限りを尽くすというストーリーからして、アカン香りがプンプン漂ってます。
それでもパニック描写とかでハラハラさせてくれるかも…と微かな望みをかけて観てたんですが、それも開始30分もすれば雲散霧消しました。
キャメロン作品の常連であるランス・ヘンリクセン(「ターミネーター」の刑事役や「エイリアン2」の人造人間役) が出てるのは嬉しかった。
何の伏線もない展開はただひたすらに冗長だし、殺人魚の登場シーンもゴチャゴチャしてるだけで散漫。おまけにチープ。
監督自身がキャリアの汚点だと公言してる通り、『ジェームズ・キャメロンのデビュー作』という枕詞がなければまったく観る価値のない映画です。
ただ、難破船の場面には『アビス』とか『エイリアン2』の片鱗も見えたりして、キャメロン監督作が好きな人には興味深い部分もあるかも。
しかしまあ、クリスのマザコンっぷりが凄い。

B級映画ファンの心を擽りまくる設定

パニックホラーやゾンビ物に軍が絡んでくるのは最早お約束と言えますね。最初にこのネタを作った人は誰だか分かりませんが、話として分かりやすいし非常にシニカルだしベリーナイスです。この作品ではピラニア+トビウオ=殺人兵器という、B級映画ファンの心を擽りまくる設定を作ってくれました。

どんな大物監督や俳優だって、下積み時代があるのは当然です。ジェームズキャメロンと言えば『タイタニック』『ターミネーター』を挙げる人が殆どでしょうが、初監督作品はまさしく「こんなんなっちゃいました」的なもんなんです。私は、こういう経歴こそ大事だと思います。大作にはない人間的な温かさ、一生懸命さ、そして映画への愛が痛いほどに伝わってくるからです。

このフライングキラーだって、企画の段階からみんな必死だったんでしょう。なにしろ、資本的に厳しい状況。削れる所は削らなければならない。魚による迫真の演技のために、フレームの外から棒とか糸とか使ってピチピチさせて、あとは役者の痛がり方次第。いつも思うんだけど、プラモデルやCG相手にのたうちまわる俳優って、本当にすごいと思います。役者の世界って厳しい!!

ただ、人間ドラマ部分を多くしてしまったのは好ましくないですね。きちんと作ろうという気持ちは分かるんですが、せっかくの下積み時代なんだからもっと終始メチャクチャにやって欲しかったです。後から名前が売れちゃって、B級映画が撮れなくなっちゃうんだから。

特殊メイクは良く出来ている

ジェームズ・キャメロン監督のB級ホラー映画です。「ピラニア」の続編になります。

「タイタニック」「ターミネーター」「エイリアン2」と、大作映画をいくつも撮った監督ですが、この映画は超低予算のゲテモノホラーです。

本人もこの作品について聞かれることを嫌っているようです。「あのひでぇデビュー作について何か一言。」とか言われたことがあるんでしょうか。

しかし、この映画には彼のその後の作品を思わせる要素がたくさん見受けられます。沈没した船は「タイタニック」、腹の中から飛び出る殺人魚は「エイリアン2」、子持ちの奥さんが活躍するのは「ターミネーター2」、冒頭で素っ裸になる男は「ターミネーター」、飛行機のように飛ぶ殺人魚は「トゥルーライズ」(飛行機の部分)、「アビス」は…まあ海が出てきます。

前半はとにかくどうでもよいシーンばかりです。特にバカ男がビッチコンビに騙されて海に落ちる件はまったく必要ありません。「悪魔の毒々モンスター」を思わせますが、キャメロンとは何の関係も無いですし。

後半は海辺のパーティーに殺人魚が襲い掛かるところが見所ですが、さほど盛り上がりません。主人公達が銃で応戦したりすればキャメロンらしいのですが。

主人公の息子とか、活躍するかと思ったら船で寝ているだけでしたし、どうも消化不良な出来ですね。殺人魚はドチープですが、特殊メイクは良く出来ているし、面白くしようと努力した跡は見られます。それがうまくいかず、監督には悔しい思い出が残っているのでしょう。

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