見たくないけど見ちゃった足の切断

スティーブン・キング原作のミザリー。原作を先に読んでいたので、おおよその流れはわかっていましたが、「このドアの後ろにアニーが隠れてるんじゃないの???」とか「アニーが帰ってくるから早くっっっ!!」とか本当にはらはらしながら映画を見ました。アニーの静と動が入り交じった恐ろしさ、じわじわくる判明する異常さが怖かったのは、さすがだなと思いました。私は原作では、アニーの甘ったるい匂いが強烈に印象に残っていたので、さすがに映画ではそれは感じられませんでしたが、ほぼ密室の中で時間が経過していく中に、自分も入りこんでしまったかのような感覚がこわかったです。そして、ミザリーの中ではなんといってもアニーが足を切断する、あのシーンが有名ですが、あのときのアニーの表情。怒っているとか、笑っているとかそういう表情がまったく感じられない無表情で、足を切断する演技がやっぱり一番いつまでも脳裏に残っています。アニーの新聞の切り抜きによって、アニーの異常性がわかってくるシーンがありますが、そこはやっぱり映画ではわかりにくかったかなというのがあります。過去のことや、ドアに髪の毛を貼付けておいて侵入者が来ていないか確かめたり、そいういう生活の中のこまごまとしたことがあってアニーの怖さが染み出てくるのだと思いますが、そこまで描ききれていない気はしました。ひとえにキャシー・ベイツの演技がすごいということでしょう。閉ざされた空間に助けもなく一人でいる設定だけでも見る人に恐怖を与える映画だと思います。

幽霊の出ないホラー。

1990年制作、監督 ロブ・ライナー×原作 スティーヴン・キング。
スタンド・バイ・ミーと同じタッグ!!
まー面白いだろうなー!と思って観たけど、期待以上の良さだった!!
余計なものが一切なくて、予想通り、期待通りに進んでいってくれてとても安心して観れた。
サイコ(心理的)ホラー、サイコスリラー映画として完璧で、すごく楽しみやすい。
「猛吹雪の中事故に遭い狂信的な読者と共に閉じ込められた人気作家の恐怖」序盤、キチガイクレイジーババアが「…よくも…よくも××てくれたわねー!!」と狂いだすところが最高。
主人公の不安と一緒に、それが来ることをしっかり予測できた。
あの狂気、たまらん。
中盤、主人公がある作戦に失敗してしまうところも一つ見どころ。
本人としては大ショックだけど、観客としてはその彼の自失ぶりと、クレイジーババアのはしゃぎっぷりに距離があり過ぎて笑ってしまう。
本来シリアスな内容のシーンも、共感できるわかりやすく面白いエピソードとして演出してくれて、とても良かった。
終盤のババアの暴力とキチガイぶり、主人公の賢さとタフさ、見応えたっぷりだった。
締め方もの作品にふさわしかったと思う。
保安官の夫妻は不憫だったな…この手の話では必ず誰かがああなるものだけど。
車外から誰かが救ったと夫妻だけ気付くというのは本来ありえないけど、まぁそこは、ほれ・・
とにかくいい映画だった! いやー面白かった!
幽霊の出ないホラー。

熱狂的なファンの恐ろしさは時代・万国共に共通

「ミザリー」という単語がたまに飛び交うことがありますが、その「ミザリー」自体が一体何なのかは詳しく知りませんでした。
が、この映画を見てようやく「ミザリー」という単語の独り立ち、そして意味合いがようやくわかることになりました。

この物語を簡潔に書くと、小説「ミザリー」シリーズのヒロイン・ミザリーを作中で死に追いやった小説家が、ミザリーを愛する女性アニーに監禁され、愛と狂気と恐怖のどん底へと落とされていくお話です。
小説家ポールと熱狂的なファンアニーの戦いっぷりは、迫力と共に心の底からハラハラドキドキさせられます。
また、この怪女アニーの演技がまたすごい!
甲斐甲斐しく世話をするお茶目な女性かと思えば、いきなり狂い叫び、突然意気消沈し、今度は不気味な笑顔で迫ってくる!
こんな女性とは絶対お近づきにはなりたくないと、誰もが思うこと間違いなしです。
視聴者は必然的に、アニーと接する以外に選択肢が無いポールサイドから見ることになるので、ここでまた絶望感を味わえます。

この作品は本当によくできていて、行き過ぎたファンの異常性をしっかりと描いています。
最初、あらすじを見ただけでは「ホラー作品?」と首を傾げましたが、中身を見てみれば「納得のホラー作品」です。
お化けが出るわけでもなく、呪いをかけられるわけでも怪奇現象が起こるわけでもなく、ただただ「情熱的な人間の恐ろしさ」という新ジャンルを見せていただける一品です。
そして、この作品からは「熱狂的なファンの恐ろしさは、時代も国も関係ない」という事を学びました。
自分も「ミザリー」、もとい「アニー」にならないように気をつけようと姿勢を正すことができる、素晴らしい作品でした。

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