人間の形をした弟と、モンスターのような兄

バスケットケースに自分の身体から切り離されたシャム双生児の兄を入れて旅をする青年。兄弟は自分たちを切り離した医者たちに復讐するためにニューヨークにやってきた・・・!

シャム双生児のお兄ちゃんは、ドラクエのドロヌーバにそっくりで、BJで手塚治虫が見開き2ページにわたって紹介したどのシャム双生児とも異なる風貌をしている。が、一見気持ち悪けれど、よく見るとつぶらな瞳であらやだ、可愛い。

人間の形をした弟と、モンスターのような兄。兄は弟が恋愛をすることを嫌い、やがて自らの性欲の存在に気付き、真っ赤なパンティーを盗んじゃう(兄ちゃん、その持ち主おばちゃんだから!)。赤ん坊少女・タマミちゃんが感じていたような孤独と絶望をお兄ちゃんもまた感じている。兄弟は平和に仲良く暮らしていたはずなのに、フリークス扱いされて切り離されてしまった。復讐に生きる兄と、兄とは離れて1人になりたい弟。B級ホラー映画だけれど、何だか悲しいよ、お兄ちゃん。

お兄ちゃんが動き回るシーン、コマ撮りなのがチープでいい。この時代のホラー映画はチープなのがいいんだよなあ。当時は恐かったのかもしれないけれど、恐さよりも可笑しさが先に立つし。お兄ちゃん、大好き。お兄ちゃんストラップが売ってたら、買ってiidaのオシャレ携帯に付けるよ。当時のニューヨークにいたであろう、安ホテルに集まるヘンテコな連中にもウケます。

ところで、『バスケットケース』には2も3もあるんだけれど、どう続くの?

ホラー版『ゆれる』

単なるフリークスもののホラーと思って油断していると、簡単に驚かされる。この映画には兄弟の哀愁がある。ホラー版『ゆれる』なんじゃないだろうか。 シャム双生児の兄弟。一人は頭と腕でしかない奇形。その姿から、実の親からも疎外され続けてきた兄と、正常な弟。兄を気持ち悪がった親は手術を強行し、二人を切り離し、兄を捨てる。

そこから異形の者の復讐劇が始まる訳ですが、良いと思うのは弟が復讐に加担する所。普通、加担どころか親や手術を強行した医者の方に付きそうなものですが、この弟は兄に加担する。その動機は紛れも無い兄弟愛で、10数年間、片時も離れず過ごして来た二人なので、僕ら常人には理解できない行動と結束力を持つという説得力がある。

兄弟との対比も良くて、兄の性欲のはけ口は、自慰行為なんて比にならない程痛ましい。女性の下着をバスケットケースに持ち帰るシーンも、女性がもの凄く不細工なんですよ。ここで不細工と美人の下着も持ち帰るのでは、えらい差があるんです。これはヘネンロッターは良い所ついてきたと思いましたね。

兄は簡単に人に牙をむけるが、弟だけには一切手出ししないのが泣ける。終盤で弟を殺そうとするシーンがありますが、途中で止める、あれは兄の葛藤が見えて素晴らしいです。正直ただの安っぽい人形ですが、魂が宿っているように見えました。

ラストも、兄弟愛が垣間見えた良いシーンでしたが、ちゃんとキャラクターに尻拭いさせているのは、ヘネンロッターは偉いと思う。

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