ホラーとしてはともかく人間ドラマとして深みがある

11年ぶりに出産を控えているデービス夫婦。夫人が産気づいたため、長男を知人の家に預けて病院に向かった。夫人は分娩室に入り赤ん坊を出産するが、生まれたばかりの赤ん坊は医師や看護師を全て殺害し、逃走する。警察が赤ん坊を殺そうと追う中で、赤ん坊の父親であるデービス氏も赤ん坊を始末することを覚悟する。

B級ホラーということで借りたのだが、さすがに70年代の作品なので、今観るとちっとも恐くない。ホラーのレベルには達していない。しかし、なかなかよくできている。70年代なので、言うまでもなく特殊技術はしょぼい。モンスターのような赤ん坊も相当しょぼい作りだ。しかし、そのしょぼさを理解しており、決してあからさまにその姿を晒そうとはしない。赤ん坊は常に物陰に隠れており、懐中電灯の灯りに照らされたり、パトカーの赤色灯の光の中顔が浮かび上がったり、なかなかその姿を見せないことで、しょぼさはカバーされ、さらに観客の好奇心が刺激されることとなっている。

また、この映画はホラーとしてはいかがなものか、とは思うけれど、人間ドラマとして深みがある。赤ん坊がモンスター化した原因は、放射能、大気汚染、あるいは薬害と様々な可能性が示唆されている。現代社会の功利主義的な価値観がモンスターを生む、そういう社会批判のスタンスを取っているのだ。

そして、さらに、モンスターとして生まれた我が子に対する両親の苦悩は見所だ。特に、最初は完全に赤ん坊を拒否していた父親が、最後「父親」として顔を見せるようになるところは、理屈抜きの親としての愛情を感じることができる。

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