日常の中に潜む不安定さ

「変態村」という邦題のインパクトに目を奪われがちですが、原題はCalvaire=殉教。

やはり原題の方が作品のテーマに合っていると思います。

うっかり人里離れた宿屋に迷い込んでしまったマルク(男)。宿屋の主人は、家出した妻・グロリエと混同し、マルクの髪を刈り、女装させ、監禁する。

この映画はホラー映画に分類されるが、何よりも恐ろしいのが、この映画の描く狂気が、「変態」というような外部の存在ではなく、正常な人間の中にも必ずあり得るものだということ。

愛の対象への偏執的な欲望は、正常な判断さえも誤らせてしまう。

アメリカン・ホラーに多いモンスターパニックものは、最初から日常から乖離していることが前提。

だから、「あり得なさ」が笑いを生み出す。

でも、「変態村」は派手なシーンはないし、流血量も微々たるものだけれども、すぐそこにあり得るという薄ら寒さを感じさせてくれる。

マルクは性別も名前も違うグロリアに間違えられる。

村人たちにやっと助けられるかと思うと、村人もまたマルクを「グロリア」と呼ぶ。

しかし、底なし沼にはまった村人に「グロリア、愛しているといってくれ」と言われ、マルクは言われたようにする。

自分がマルクであること、自分が男であることを証明したいと願ってきたマルクは、

結局それを放棄してしまうのだ。

自分が自分であることなど、証明できないし、確かなものでもない。

その日常の中に潜む不安定さが、この映画の恐怖だ。

派手なホラー映画が見たい人には向かないでしょう。

でも、見終わった後にじわじわと来る恐怖感を味わってみたい方にはぜひ!

あまりにも不条理

あまりにも不条理、あまりにも狂気で理解できるものではない。

物語の冒頭がもう不快、もう80歳にはなろう老婆が若い兄ちゃんに自分の局部を触らせるようなシーンから始まるのは誰も得しない。この作品の狂気性を視聴者に真っ先に印象づけるという意味では確かに効果的ではあったと思う。

主人公以外、登場人物は皆変態。変態というか狂人?

物語は基本的に主人公視点で広がっており、それゆえに変態村が変態村である所以は謎、視聴者にも最後までわからないまま終わる。狂気を描くという監督の目論見は成功していると言えるかも知れない。

仔豚をレイプしたり、主人公を女装させて村人みんなで輪姦したり、突如謎のダンスを踊りだしたり、これがなまじっかシリアスに映しだされている為、困惑する。困惑させたまま、最終的に悲観的にならざるを得ない感じによく分からないまま終わる。

ただ一つ間違いないのはいずれ主人公も衰弱死するであろうことくらい。

映画本編よりも、DVDに収録されていた監督の短編作品の方が秀逸であったと言える。

不快指数ではこちらのほうが遥かに上だ(ただし映画の演出が本編と度々重なるのはマンネリ感が否めない)。

50は超えようおばちゃんがすっ裸で、若い兄ちゃん「の死体」を誘惑するのは圧巻。

何が問題って、乳首から陰毛まで丸出しなのが吐き気を催すこと間違いない。勿論その「ケ」があるなら話は別だが、そんなマイノリティ知るか

監督は婆に淫行を強要するのがお好きなようで、監督の悪趣味が露呈した作品。

醜い愛の物語

主人公は旅する歌手。車の故障によって足止めされた宿で、おかしな男と出会います。その男や近くの街に住む人間の異常さに気づいた彼は、宿から脱出しようとします。しかし男に捕まってしまい……。

男性同士のレイプシーンや獣姦シーンが登場するハードな内容。一方グロデスクな展開はそれほどでもないので、血が苦手な人にも見やすいかもしれません。

ストーリーの展開を楽しむというより、雰囲気を面白がるタイプの映画かなと思います。わかりやすいエンターテイメントを求めている人にはおすすめしません。

しかし暗くて音はずれの音楽や、登場人物の狂った愛情、主人公の抱える絶望感は真に迫っていて非常に面白かったです。これを見たのがハーレムものの小説を読んだあとだったのでなんだか皮肉に思えました。ハーレムものをホラー化するならこんな感じだろうなと。

一番好きなシーンは村人がピアノにあわせておかしな踊りをするシーン。アメリカ映画にはなかなか見れないヨーロッパらしい美術センスだと思いました。歯車が狂ったまま噛み合ってしまったようなちぐはぐさと恐怖。

余韻のあるラストも好きです。ハッピーエンドではないのですが、この作品のテーマは愛なのだなあと感じます。この辺りは考えるより感じたほうがいいでしょう。

万人におすすめできる作品ではありませんが、尖った作品を試してみたい方にはおすすめしたいです。この作品についてはいろいろな感想を見てみたいです。もちろん「わけわからん」という感想も。

レビュー投稿