心意気のシブい映画

内容は、分裂症の男の妄想がどんどんシャレにならない事になっていって、子供を失って別れた夫のDVにも悩まされている不安定な女もその妄想にどんどんハマっていって…という、割とよくありそうな感じです。

登場人物が極端に少ない(第三者的空間が無いので説明が無い)ので、結局何が本当だったかは分からない作りになっているんです。雰囲気的には「オチは『結局妄想だった』んですよー」なんですけど、ひょっとしたらそうじゃないかもしれない。男の言ってた事は本当だったかも分からない。その線も3%ぐらい残して終わっといたのがシブかったですね。

内容自体とか、妄想ネタで『ていうか真実って何?』ってとこまでテーマを広げるぐらいだったら、私ぐらいのレベルの素人がやる自主映画と同じなんですけど、やっぱりウィリアム・フリードキン監督の演出は凄かったですね。リアルの映画はスゴイと思いました。

俳優の演技とかも妄想ネタなだけに超絶でした。

映画の内容やクオリティ自体よりもそういう作り手側の「かましてやる」という意気込みみたいなのに惹かれる作品でした。

特に監督(『エクソシスト』の監督)の「巨匠ナメんなオラァ」みたいな感じが漂っていました。

それが鼻につく人も、「コレやりすぎだろ」と冷めてしまって笑ってしまう人もいるかも分かりませんが、個人的にはグッときました。

本当に笑うかヘコむかのギリギリの境界を攻めた映画じゃないでしょうかね。

内容は重いし暗いですけど、心意気のシブい映画だったと思います。

戦慄せずにはいられません

この映画に出てくる異常者は群を抜いています!

異常者のトップアスリートとも言うべきハイテンション振りで、映画後半のウサイン・ボルト選手のような加速ぶりには戦慄せずにはいられません。

BUGとは虫という意味ですが、コンピューターのバグというような意味もあるのでしょうか。

人間というのは生まれつき欠陥であるものですが、この映画の2人のように「完全に使い物にならない」状態になってしまうのには、それなりの原因があるのかもしれません。

恐ろしいのは、そのバグがウイルスのように周りの人間にも感染してしまうことです。

辛い過去を持ちながらもマトモに生きていた女が、異常な男に触発されると、持ち前の「負けん気」を出して更にハードに狂ってしまうあたり、女性ってそうだよな〜と感心してしまいました。

まあ、2人(だけ)で分かり合ってハッピーになってしまうんですから、ラブストーリーとしても見れるのかもしれません。

ところで、このDVDには特典として監督のインタビューが入っているのですが、この映画に関する質問がなぜか一切無いのが気になりました。

「エクソシスト」で成功してどうだったとか、作品数が少ないのはなぜだとか、一番の失敗作はなんだとか、微妙に失礼でどうでもいいものばかり。

それでも長々と話す監督は流石ですが、最後までこの映画に触れない質問ばかりに痺れを切らしたのか、勝手に話し始めるあたりはなんか悲しかったです。

この映画に全然興味ないからって、そりゃないだろ!と、監督の代わりにツッこんでしまいました。

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