とんでもない映画

長い遠征から帰ってきた兵隊長たちは、捕虜にした敵国の一族の長男を生け贄として、生きたまま四肢をぶつ切りにし、燃やし尽くしてから最後にはらわたをホルモン焼きにする。それを見ていた一族のお母さんは、こいつらの一族に絶対復讐したる、と半沢直樹を決め込む。それから急転直下、お母さん皇后に。そこからすごい勢いでお母さん反撃。色欲狂いの息子を使って、兵隊長の娘を強姦しては両腕を切断、舌も切断、兵隊長の腕も切断、兵隊長の息子たちの首も切断。お母さん歓喜。兵隊長大激怒。兵隊長からコック長に転身し、色欲狂い息子のミートパイをお母さんに食べさせる。コック長歓喜。お母さん虚空。お客茫然、ただただ茫然。

この通りとんでもない映画である。拷問やレイプなどの直接的な描写は端折っているものの、それでも負のスパイラルによるダメージは大きい。それを時折、カメラ目線で視聴者に向かって説明が入るので、自分までもその出来事に加担した気持ちにさせる演出はハネケに対するオマージュなのか。ただたんにミュージカルの要素を強調しただけなのかもしれないけど、この鬱積していく不快感によってその日は悪夢を三回見るという、とんでもない体験に見舞われた。

そういった“見ていることが辛い”状況が続くにも関わらず、一気に見せ切ってしまうテンポの早さと凄まじい熱量には舌を巻いてしまうのだが、その代償が悪夢三回というのもなんだか。

だがその甲斐あってか、目が覚めたとき、いつも以上に平和なことが嬉しくなった。

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