ホラー映画のセオリーをことごとく覆す仕掛け

アメリカ南部の場末のバーに謎の生物が襲いかかってくる、ストーリーはなんの変哲もない低予算モンスター映画の王道中の王道であり、個人的に愛してやまないシチュエーションなんだけど、今までどうにも手が伸びずにいた。というのも、これはマット・デイモンとベン・アフレックの仲良しコンビによる新人発掘行事の一環として制作されているからである。金持ちの道楽で箸休め程度に力を貸してやっただけなんだろ、所詮。なんて思っていたが、これが意外にツボを心得たなかなかの佳作になっている。

とにかく視聴者が喜ぶであろう、スリル、エロ、笑い、ゴアがぎゅうぎゅうに詰まっており、グラインドハウス映画としても十分に機能している。だけど、これがグラインドハウス的な“客に媚びた”映画ではなく、楽しませようとしていることと同じくらいに楽しんで作っていることがよくわかる。ホラー映画のセオリーをことごとく覆す仕掛けもホラー映画ファンの読みを逆手に取っており、次はどうでるのか期待が膨らんでいく。

女性が強いというのも好感が持てる。ホラー映画といえばヒロインが自尊心を踏み躙られ、血塗れになり、糞便を抱き抱えながら成長していくのが通例であるが、そういったこともきちんと忘れていない。それになんといっても女性陣がみんなエロいのだ。棺桶に片足突っ込んだ婆さんすらエロく見える。そんなエロいねえちゃんたちがギトギトしたクリーチャーに弄ばれるというだけでも一見の価値があるし、存在価値も十二分にある。

一般公募して選ばれた脚本

一般公募して選ばれた脚本を元に、大物役者(マットとベン)がプロデュースし新人監督が作り上げた、B級モンスターホラーです。

数ある脚本の中から選ばれたのですからどれだけ優れたものなのかと思うと、これがストーリーはあって無いようなもので、一軒の酒場に集まった人々が化け物に襲われて順番に死んでいくというだけです。

つまり、脚本と言ってもただ登場人物の死ぬ順番を決めただけのようなものです。

出てくる化け物は、スパイダーマンのヴェノムが死んで腐ったかのような汚いシロモノで、不快度MAX魅力はゼロです。しかも化け物同士で性行為したり生殖器がチョン切れたりゲロを吐いたりします。

対する人間達も、セクシー美女も居たりはしますが、大半は薄汚い社会不適応者ばかり。しかも性行為をしたりウジを被ったりゲロを吐いたりします。

スタッフ(監督やマットやベン)は子供のようにおおはしゃぎして作ったのかもしれませんが、F層はドン引き&徹底的な抗議デモに出発!となりそうです。

映画の展開も単調、というか「化け物がいるシーン」「いないシーン」の2つが交互にやって来るだけです。そのたびに登場人物の何人かが汚らしい死体となって退場するわけです。

しかし、後半以降の攻防はなかなか見応えがありました。特に、追い詰められた人間達が裏切ったりうっかり殺しあってしまったりする展開は意外で面白かったです。エンディングも変に奇を衒ったりせず良かったと思います。

あんまりちゃんと見せてくれない

期待してたんですけどね。一番気になったのは、制作費がないからだと思うんですけど、全然出来事を映さないんですよね。怪物もよくわからないし、犠牲者の殺され方なんかも、全然よく見えない。なんとかスリリングにしようと、カメラワークや編集でなんとかしようとする涙ぐましい努力は理解できるんですけど、やはり僕はもっと出来事を“見たかった”ですね。

登場人物も多くて描ききれてない。一晩の出来事+密室劇にしては出てくる人間が多いので、各キャラ登場シーンでプロフィールを表示するという荒技に出ますが、結局設定でしかないし、覚えてられない。作り手としては、プロフィールを表示するのも単なる雰囲気作りで、別に覚えさせようとは思ってないとは思うんですけど、主人公らしい主人公もいないので、誰を観ていればいいのかよくわからない。

異常なぐらい急ピッチで話が展開しますが、あんまりちゃんと見せてくれないので、何やってるかもよくわからないんですよ。だからこんな怪物が登場するスプラッターものにも関わらず、眠い。で、意識がなくなりそうなぐらいで怪物が登場するんですけど、カット割りが速すぎて、どうやって殺されてるのか全然よくわからない。どころか、「今誰が死んだ?」「なんか影響あんのか?」みたいな事になる。

多分いろいろやってるんですけどね。展開が速いのか理解力がないのかわからないですけど、情報を認識する前に次にいってしまう。怪物が交尾しているというのも悪くないんですけど、そういうのを見たくないけど見せて欲しいんですよ。

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