淡々と進む狂気

痩せゆく男はスティーブン・キングのだいぶ古い映画になりますが、私のお気に入りの一つです。簡単なあらすじを書きますと、かなり太った白人男性である主人公が、とあるネイティブアメリカンの部族に無体なことをして、妙な呪いをかけられ体重減少が止まらなくなる、というお話です。

これだけだと「どこが怖いの?」と感じてしまいますが、最初はただ痩せていくのを喜んでいる主人公が、次第にあまりの体重減少の速度に、「このまま体重が減り続けてしまったら自分は一体どうなってしまうのか」と怯える様子に妙に引き込まれてしまいます。「もし自分が同じ状態になったら怖いだろうな」、と身近に置き換えて想像できてしまう映像効果と話の引きの強さがあります。

また、主人公は最後とある決断を迫られるのですが、それがまた後味が悪いというか、人間の怖さ、静かな狂気を感じさせる終わりとなっていて、「映画はここで終わりだけど、この後は悲惨な状況が待ち構えているんだろうな」というの感じさせる、とてもホラーとしては良い終わり方です。

主人公の血が飛び散るようなスプラッターではないので派手さはないですが、人間的な怖さ、嫌らしさ、欺瞞、あと、太った主人公がするすると痩せていく視覚的効果、など見所が満載です。もちろん、スティーブン・キングですからB級さもいい味出しています。とにかくなにか怖いのはネイティブアメリカンの不思議な力!というところが非常に「らしい」です。

淡々と狂気を追うようなホラーを見たい人はオススメです。

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