イマイチ突き抜けてくれない

駄作だとは思わないんですけど、イマイチ突き抜けてくれない。例えば、ボーリングが人の顔になって喋りだすという描写。そこがかなり異質な描写なわりには、その描写が暗示した出来事が全然僕の想像を超えてくれない。やっぱりそれかあという印象でしたかね。

理由を描かないのは全然良いと思うんですよ。いつ好きになったのかとか、女が頑なに喋らなかろうが、そんなのは全然描かなくていいと思うんですけど、愛しすぎてしまう事によって生まれる闇の部分を見せたいなら、やはりその出来事をしっかり映像化して描いてほしいし、観たい。なのでラストはちょっと物足りなく感じましたね。

主人公に葛藤が感じられないんですよね。男にどんな扱いを受けようが、ロボットのように弁当を作り続け、止めろと言われても弁当を生産し続ける。泣いても良い状況下のはずなのに、全然そういう事にはならない。それがどうにも人間臭さを感じないし、健気だとも思えないんですよね。なんかよくわからないんですよ。

仮に、意図的にそういう感情的なシーンは省略したとなると、全然巧いとは言えないですよね。いくら映画が「省略の芸術」とはいえ、客が観たい部分が省略されてしまっているのは良いと思えないし、ここまで生っぽい映画なら、ある程度キャラクターに共感したかったです。

映像的な雰囲気は良いんですけどね。殺すだけじゃなくて、好きな男の内蔵をえぐり出して喰うぐらいの元気が欲しかったです。でもこの映画の言いたい事は全然嫌いじゃない。

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