強引な構成が非常に潔くていい

超低予算ホラーというのも、一つのカテゴリと化しつつあるようだ。このハシリは、「ブレアウィッチ・プロジェクト」あたりか?いや、その前から元々ホラーは作品として認められる基準が厳しくもあり、中々大金額を掛けられないという宿命は引きずりながら細々と、辛抱強く引き継がれていってたと思われる。

が、それを逆手に取り、「低予算だけどスゴイ」「表現に金額の高さなんて関係ない」「むしろこの画像のチープっぽさが雰囲気にマッチしている」と、いい方向に向けているところが面白い。決してお金を掛けることが悪いことではないが、D.I.Y.精神タップリ、この方向にも新鮮味があり、”次はどんなのが来るか?”と、楽しみな感じもしている。

さて、この作品も例に漏れず低予算。が、宣伝謳い文句の”45ポンド(6千円)”はあまりにも”ゼッテェ〜ウソだ!”と言われんばかりに、結構な数のゾンビが登場、いくら安上がりに作ったとしても、これだけメイクしただけで結構な実費が掛かり、”経費で6千円なんてあっという間に飛んでしまうよなぁ”という感じだが、まあ制作予算の話はあまり突っ込まないことにして。

ゾンビ映画に付き物の課題”ゾンビが出来る経緯”は完璧にすっ飛ばし、”なんでこんなストーリーになってしまったんだろう?”と思わせない強引な構成が非常に潔くていい。また、ゾンビ映画は誕生からそのメーキャップの出来の良さが作品の出来の良さを左右する、と言っても過言ではなかったが、そこを作りこまなくても”怖い!””痛そう!”とか思わせる演出が素晴らしい。

『デビルマン』の後半を彷彿とさせる

誰かに噛まれてゾンビとなりつつある主人公コリン。しかし彼はゾンビとなっても尚、人間だった頃の記憶を頼りにある場所にたどり着こうとする、というのが物語のあらすじ。ラストが泣けるのでネタバレはしないでおきますか。

ゾンビを主観に置くことで、恐怖の対象はゾンビから人間へと変わっていきます。ただ散歩してるだけなのに理不尽に襲ってくる人間たち。そりゃお腹空いたらちょっと貴方たちのこと齧ったりしちゃうけど、ゾンビだからって虐めなくてもいいじゃないですかー。こっちは基本丸腰なんだし。

で、ゾンビに噛まれちゃった人達も当然ゾンビ予備軍として始末の対象にされちゃう。まだ意識は人間のままなのに蘇生しないように頭を潰される彼ら。この辺の描写は『デビルマン』の後半を彷彿とさせる人間の黒い部分って感じで、ホント怖い。

思うに、もしゾンビが支配する世の中になっちゃったなら、早めにゾンビになっちゃったほうが幸せなのかもしれんな。生きながら身体引き裂かれて貪り食われるよりはいいでしょ絶対。ちょっと体臭きつくなりますけど。

作品の話に戻ると、まあ手放しで全てを絶賛するわけではなし。ウイークポイントは二つほど。

第一に、正直上映時間は長いと感じてしまった。主人公がゾンビになってうろつく描写はもう少し短くまとめても良かった気がする。

第二はやっぱり低予算ゆえの低画質がさすがに酷いこと。70〜80年代ならこれでも納得できるんだけど、さすがにこれだけDVDやブルーレイで高画質の作品観られるようになってきてるとね。

ダークな恋愛映画のよう

製作費6000円で創られたイギリス産の一風変ったゾンビ映画。

正直、本当に6000円しか使ってないの?てくらい、始まりから凄く凝った、むしろゾンビ映画らしくない少しくすんだような綺麗なような色合いの、とても御洒落な映像に心持っていかれます。特に部屋の中でのコップに映る姿や時折挟まれる風景等は素敵な印象もあります。

ダークな恋愛映画のよう。

同じイギリス産の「28日後…」等の雰囲気もあり、その手のアーティスティックな映画好きな人もイケるかもしれない。

勿論あくまでもゾンビ映画なので、血は出るし内臓も出るしで、そこそこのグロな描写もありますので御洒落なだけには止まらない部分もいい。

しかし途中なんだかよくわからない、はて?このシーンて意味あんの?という展開もあり、若干飽きる部分も。

そんなシーンが続けて2ヵ所程あるので、そこ無ければもっと統一感あったのに残念ではあるが、ただ、そういう無駄な印象を持つシーンがいきなりある部分に歴代のB級ゾンビ映画らしさを感じるのも確か。

そういう部分になんとなくロメロゾンビ作の臭いもあるにはあるので(なにより走らないし)旧ゾンビ映画好きも好感持てるかもしれません。

もう少し人間〜ゾンビへの移り変わりの描写があるのかと思っていたけどその辺が予想より少ないのもちょいと残念でしたが、なんだか哀愁漂うちょっと弱めのコリンゾンビの小さな旅、6000円には思えないクオリティでした。

たまに血のりが付いてて欲しい部分に付いてなかったりするのはご愛嬌(笑)

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