原作に比べてコミカル過ぎる

原作を読んだのはもう10年以上前だから詳細は余り覚えていないが、物凄く怖かったのはよく覚えてる。
小説でここまで魅せる作品は中々ないのでは、という思いは未だに変わらず。興味が沸いてレンタル。
まあなんだか。空振りっぷりが酷い。
監督は恐らく原作とは違った要素を映像作品として加えることで、原作にない魅力を出したかったのだろうけど、如何せん力不足が目立つのみでした。
まず、原作に比べてコミカル過ぎる。
随所に笑いのポイントを挟もうとしているのだが、悉く失敗しており見ている方は不快になる。
やめときゃいいのにやってしまうもんだから見ていて痛々しい。
]そのコミカルさのおかげで作品全体が軽くなってしまい、ホラー映画としての独自の重さや、息苦しさが全くない。
音楽も軽さに拍車をかけており、コレジャナイ感が倍増。ついでに言うとFAX音のSEも不要。
一番のポイントとなる家に侵入すシーンは、原作は思わず本を閉じたくなる緊張感だったけど、こちらはサラリと流れてしまった。(惜しかったんだけどね)
ここにもっと力を入れなきゃどうする!と突っ込んでしまった。
大竹しのぶの鬼気迫る演技、なんて煽り文句もあったけど、こちらもそれ程でもなく。あの無表情で感情のタガが外れたかのような口調は良かったけど見せ方?が全然なってないので台無し。狂気を感じるというよりは、なんか頭の悪い人にしか見えなかった。
後、最後の消火器は伏線が見え見え過ぎて萎えました。
とこんな感じで辛くなるような部分が随所に。

人の狂気と闇が織りなす和製ホラー

幽霊などの超常現象でもなく、UMAなどの未確認生物でもない、和製ホラーの仄暗さと平凡な社会の裏が相俟って、所謂オバケを一切出さず、人間の狂気と人間の黒い部分だけで血も凍る恐怖を与える作品となった。ただひたすら保険金を得るべく、事故や事件に淡々と巻き込まれるある夫婦。夫婦の奥さんを演じる大竹しのぶの執念と黒い闇が、人間の狂気となって主人公に襲い掛かる。その迫真の演技は必見。人の皮を被った悪魔と言おうか、得も言われぬ恐怖を感じる。私は、当時ここまで壊れた人間を見るのが初めてだったため、軽いトラウマになり、悪夢となって数日間出てきた程だ。多感な時期に見たら完全にトラウマになってしまうんじゃないかというレベルだった。この作品には嫌悪感を感じる表現、悲壮感を感じる表現が随所にあり、作品冒頭から数々の胸糞悪い事件が起きる。そして、ありとあらゆる手を使って保険金を得ようとするあからさまな夫婦の態度が、とても胸糞悪い気分にさせる。しかしミステリー要素もあり、最初から最後まで息のつけない展開で、一気に見ることができた。奇しくも、この映画が放映されたのと同時期に、この映画の内容と類似点の多い、かの有名な『毒物混入カレー事件』が起きている。この事件の首謀者が映画の影響を受けてやったかどうかは定かではないが、要するに、こういう事が現実にもあり得るのだということが、映画を見た後からも、ジワジワ背筋を凍らせているのだ。

間なのに人ではない、純粋なサイコパスに出会う恐怖

映画『黒い家』は、貴志祐介による日本のホラー小説を原作としたサイコホラー映画。ごく一般的なサラリーマンである主人公若槻慎二は大手生命保険会社「昭和生命」の京都支社で保険金の査定業務を担当している。ある日、若槻は、保険加入者である菰田重徳からの呼び出しにより菰田家を訪問するが、そこで菰田家の子供が首を吊った状態で死亡しているのを発見してしまう。子供が死んでいるのに保険金がおりることを気にしている重徳に違和感を覚え、また以前より不可解な保険金請求があったことから若槻は重徳が何らかの事件に関わっていると考え、重徳の妻・幸子へ危険を知らせると共に注意を促す連絡をとる。しかしこの善意の行為が若槻の生命を脅かす切欠となってしまう。この映画では、一見異常に見える人間は、実は「異常な状態に置かれた正常な人間の行動」であり、逆に異常な事態でも淡々と生活している人間の中に実は人の形をした化け物が潜んでいたという恐怖が味わえる。彼らはうまく人間に擬態し、時にはいい顔をして、ごく普通に生活をしている。ただし、他人への共感性が薄く、人に愛情を持つことなく自分の利益の為ならば手段として人の命を奪うことすら罪悪感を覚えない。同じ人間の姿をしている、会話もできる、なのにどうしてそこまで人間として分かりあえないのか、性善説を真っ向から否定するような純粋な悪の存在に、一般人はただ恐怖と絶望しかできないと思う。映画を鑑賞し終わった後、このような人間が本当にいるのか、もし遭遇してしまったらどう対処できるのだろうか、そんなざらりとした後味の悪さの残る、よいホラー映画である。

妙にシュール

後味の悪い、心を陰鬱にする作品。人の心の持つ、自己中心的な他者への愛を感じない部分を主人公に先鋭化させた作品。

原作は正統派ホラーだったけど、こっちはブラックコメディって感じ。大竹しのぶと西村雅彦の過剰な演技も笑いを誘うし、ボウリングのシーンなんかは妙にシュール。これ、やっぱり狙ってるのかなぁ。

青い空とか、海とか、ガスタンクとか、森田監督らしい演出は例によって盛り沢山。大竹しのぶ演じる幸子の象徴として、ボウリングの玉や黄色い服など、原作に無かった要素も取り入れられている。この手法も森田監督ならではのもので、初期作品から、この後の「模倣犯」に至るまで、積極的に取り入れられている。

西村雅彦の登場シーンにノイズが混じったり、画面がいきなり一色に染まったりする演出や、向日葵の写真を入り乱れさせるオープニング、ザッピングを駆使した金石と若槻の酒場のシーンなどは結構好き。

ただ、いろいろな部分がはしょられているし、キャラクター造詣も原作と結構違う(若槻挙動不審すぎ、幸子最初からぶっ飛びすぎ、など)んで、原作の怖さを期待して観ると肩透かしを食らわされるだろう。別物と考えて楽しむのが吉。

しかしこの映画の何が凄いかって、大竹しのぶが凄い(笑)。

ラストの階段でのバトルシーンは、髪を振り乱して鬼のような形相で迫ってくる彼女の演技のおかげで意味不明な迫力を醸し出している。「まだまだ自分は現役女優なのよ」という彼女の女優魂が感じられて、個人的には好感を持った。

ホラー映画黒い家、むちゃくちゃ怖いです。

貴志祐介さん原作の”黒い家”、原作が凄く面白かったので映画を観ました。

小説も読み進めていくと、どんどん恐ろしい世界、そして不気味な家に引き込まれて行ったのですが、映像化されたものはそれ以上に恐ろしかったです。

しばらくの間、映像が頭から離れなくて困りました。

ホラー要素は最初からいくつも出てきます。

そしてなんと言っても、映画では大竹しのぶが演じる幸子自体がホラーです。

保険会社に勤める若槻は、息子を亡くした菰田夫妻と出会います。夫は自分で指を切って保険金を手に入れていると知り、若槻は息子の死にも疑問を持ちます。

息子の死は警察によって事故死と判断されましたが、その後菰田氏は両腕を切断して現れるのです。

もうこのあたりから、背筋がぞくぞくしてきます。

終盤、若槻は恋人の恵が菰田幸子が住む黒い家に監禁されていることを知り、この恐怖の家に侵入するんです。

とにかくこの黒い家に侵入する際が怖いんです。

まともに画面を見られない状態になってしまいます。

大竹しのぶの演技が圧巻でした。

叫びながら迫りくるシーンは本当に気持ち悪かった。

そして、海に落ちてしんでしまったと思っていた、幸子が

また舞い戻ってくるシーン、私、怖すぎて泣きそうでした。

夫役の西村さんの不気味な演技も凄かったです。

とにかく、この菰田夫妻の演技が光っています。

こんな事件に巻き込まれてしまった、若槻、そして恋人であった恵が今後まともに生活していけるのか、不安になります。

怖かったけど、ホラー映画としてはとても面白かったです。

おぞましさと嫌悪感に脱帽です

たとえ現実離れした物語も、その展開次第では現実と重なるように見えてしまう事もあり、それがさらに度を超えると、恐ろしいホラーになってしまうという事なのでしょうか。この映画は、まさにそんな感じを受けます。

映画全体に漂う空気は、ホラーとしての恐怖感というより、人間として生理的に受け付けたくなくなる嫌悪感のようなものがあって、それってやはり原作の凄さと大竹しのぶの演技力なのかなと思います。この映画がサスペンスという枠だけには収まらずに、ホラーとなってしまったのは、その部分かなと感じます。例えていえば、台所に突然出てきたゴキブリを見るような、しぶとさといい、おぞましさといい、申し訳ないですが、大竹しのぶとゴキブリが重なってしまう感じで、そこまで見せるのは凄いです。

そして、確かこの映画が封切られた頃に、有名な保険金詐欺の事件も現実に起きていましたね。友人の保険屋さんが、その頃の事件の後から、仕事でお客さんと契約する際のコンプライアンスが厳しくなってきて、作業が大変になったとボヤいていました。そう言った意味では、時代を感じさせる物語だと思います。

最近は、保険金詐欺にしても、それ以外の殺人などにしても、もっと過激な事件がたくさん報道されていて、その残酷さはすでに映画の世界を超えていると思えるようなものもあります。ですから、昔に観た時の衝撃は、今観たら感じないのかも知れません。その事実が、一番怖いかも知れませんね。

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