売れないホラー

売れないホラー作家のボブは恋人のシャーリーと小説のネタ探しのため、夜の墓場へ向かう途中、事故に遭い、崖から転落してしまう。時を同じくして墓場では夜の帝王が宴を開いていた。ボブたちは偶然にもその現場を目撃してしまうのだが…というおはなし。
妙なタイトルに惹かれて借りてビックリ。なんとコレ、夜の帝王を満足させるために女死霊たちが次々とセクシーなダンスを披露していくお色気映画です。
いわゆるストリップショーなのだけど、服を着て登場するのは始めだけでカットが変わると、アッという間にすっぽんぽんになっているというストリップの法則をも無視したすごいストリップ。
しかしながら、プロのダンサーによるクオリティの高いダンスは見応えがあってナカナカ良かったです。ハワイアンや花嫁、猫女など、ダンスを披露する女死霊たちにも特性があり、振付にそれが生かされているので結構楽しく観られます。陽気&セクシーに踊るダイナマイトバディな死霊たちは元気ハツラツ。…死霊だけど!
宴を楽しむのは、エロエロな夜の帝王とサディストな夜の女王。それから、下っ端として着ぐるみ感たっぷりの狼男と包帯男。みんなインチキくさくて、しょぼ~いです。いいキャラしてます。
「日が昇ると私たちは消滅してしまうから早く帰りましょう!」と焦りまくる夜の女王を尻目に、「まだイケる。もうちょっと見られる。もっと見たい。あと一人。もう一人。もうちょっと…!」と夜の帝王のストリップ熱はとどまるところを知りません。「まだ帰りたくない」とごねまくります。どんだけ好きなの、アンタ!
本作が公開された当時はポルノ表現に関する規制が厳しく、劇場で上映してもらえるようなお色気作品に仕上げるための苦肉の策が、この“ストリップ”だったようです。
映像特典の監督インタビューを見る限り、この監督は愛すべきアホのように思えます。アホな監督がアホの自負なく、天才たる己の才能をフルに発揮して出来あがったのが、この映画なのです。
映画としてはビックリするぐらい酷い出来だ。、

基本的にストーリーが存在しない

私がもし、「映画というイデオロギーに真っ向から喧嘩を売った作品は何か?」と問われたならば、一つにウォルト・ディズニーによる1940年作の映画「ファンタジア」を挙げる。

そしてもう一つに挙げるのが、本作「死霊の盆踊り」である。

本作には、基本的にストーリーが存在しない。この点で他の映画とはまったく異なる点であるが、結果的にそうなったのではなく、監督、脚本家の意向でなるべくしてこうなったというのは注視すべき点だ。

ストーリーがある映画ともなれば当然登場人物を割り当てるために、ある程度の技術のある俳優を起用せねばならないが、この映画にストーリーはないため、基本的に役者は出演していない。

勿論映画である以上オーディションは経ているため、質は高い。

しかし、それはあくまでストリッパーとしての質である。

一応この映画の主人公はある男女のカップルなのだが、主役を演じている女性の大根役者ぶりは酷い。

特に悲鳴をあげるシーンは——余談だが私はいかなる映像作品においても、悲鳴、ことに女性の悲鳴の巧拙にはうるさいのだが——誰が聞いても「ぴゃー」なのだ。

これほど間抜けな悲鳴が、一応ホラー映画であるにもかかわらず、修正されないという点は酷い。

また、監督の意向で起用した男性俳優も酷い。

演技が大根であることもさることながら、カンニングボードなしに演技ができないという痴呆っぷりである。

どうも他の映画に出演しているのを見て採用したようだが、なぜ碌に台本を覚えられない俳優を好き好んで起用せねばならないのか理解に苦しむ。

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