混乱の中の人間を実にリアルに描いた秀作

モンスターパニックとしてもなかなか面白いもんですが、モンスターなんぞどうでも良くなるぐらいとにかくスーパーにこもった人々が怖い。不安や恐怖が目の前にあると、なにかにすがりたくなる。んで、普段は信じない神やらなんやらを信じたくなって神の預言者(エセ)を崇め始める…その過程が地味にリアルに描かれてるわ。特に後半で主人公サイドのおっさんが薬局の惨状見て正気失う→暴徒化ってのがなんともリアル。
そんな向かい風にも負けず、主人公グループは果敢に行動してその都度多少の成果はあげるものの、絶望的状況の大局は変わらず、ある行動を決断する…で、件のラストへ。
ストーリー運びは綺麗で説得力もあるし自分が思う作品の裏テーマと照らし合わせれば、すごい納得いくラストやった。後味の悪さは置いといて。笑
その自分なりに導き出したこの作品の裏テーマとは「最善の行動が必ずしも最良の結果につながるとは限らない。」
最初にゴネて出てったBBAの顛末、劇中の主人公たちの行動とその結果、ラストシーンから考えついたんですが…どないですかね?
そーいえばキャストさんは見たことなかった人ばっかりやったなー。主人公の演技力もすごかったが、自分はエセ預言者に拍手を送りたい。観てるだけでこれだけイライラさせられたのファニーゲームのあの兄弟以来かも知れん(笑)あとスーパーの射撃の名手。ビジュアルとは裏腹にやたらかっこよく見えた(笑)
ラストばっかりが取り上げられがちですが、混乱の中の人間を実にリアルに描いた秀作やと思います。

視界ゼロの中忍び寄る恐怖

この映画は1メートル先からの視界を奪い、見えない恐怖を与えてくれます。
視界を奪う正体は霧で、タイトルのミストはこの霧を指しています。
夜の闇で右も左もわからない状態とは違い、明るくて見えているのに見えないという状況が恐怖心を駆り立てます。

物語の舞台は町のスーパーマーケット。
急に辺りに霧が立ち込め、真っ白な世界に包まれます。
駐車場に停めた車も見えず、外に出た買い物客は霧の中の「何か」に襲われます。
小さなスーパーに閉じ込められたパニックも合わさり、自分もその場に居合わせているような感覚に襲われました。
この状況では店内に留まるしか生きる術はありません。
しかし、いつまで続くかわからない焦りも混じります。

そんな時、店内に残った住民の1人が洗脳を始めます。
あれは悪魔の仕業であると訴え、自分に歯向かう人も同じ悪魔だとして生存者達を先導します。
このシーンはまさに魔女狩りです。
「溺れる者は藁をも掴む」と言うように、信仰のなかった人が簡単に悪魔を信じ、神を求めたのには生々しい恐ろしさが出ています。

店内で起こっている人間の恐怖と、外に潜むモンスターの恐怖。
まさに究極の2択です。
どちらを選択しても命がある保証はほぼゼロ。

ストーリー後半にはモンスター達が表れた理由や謎が解明されますが、その時点まで生き残っている生存者はごくわずか。
モンスターパニックに近いですが、すぐそこまで迫っているのに見えないという、新ジャンルのホラーです。

衝撃のラストは覚悟して見ましょう

作品的にはSFホラーとなっていますが、ストーリー全体はSF要素が強く、映像やラストに向けての物語の展開は、完全にホラーといっても良いかと感じます。特に多くの方が話題にしているこの後味の悪さは、スターウォーズやスタートレックが好きな純粋なSFファンが見たら、確実に腹を立てるレベルです。はっきり言います。それだけラストを見た後の後味の悪さは、天下一品です。
まあ原作がスティーブン・キングですから、見ていてただでは終わらないだろうと思っていましたが、途中の展開がしっかりテンポがあって、最後はそこに落とすのかと、正直気持ちが萎えてしまいました。
とはいえ、作品全体としては、とてもしっかりしています。娯楽映画に欠かせない、正義感の強い主人公や、見ていて殴りたくなるワルや、か弱い少年など、ツボもしっかり押さえてありますし、特撮も頑張っていて、ストーリーも見ていて飽きない展開の早さです。そして、タイトルにもなっているミスト、真っ白で前が見えない霧が作り出す閉鎖空間が、恐怖を倍増してくれます。
そう思うと、これで後味を良くしたら、単なる娯楽作品だけとして終わってしまい、考える要素が無くなってしまうので、あえてああいったラストにしたのかもしれません。霧に中で迷う姿は、はっきりとしない現代社会の中で迷う姿と重なり、一歩間違えた時には、悲惨な結果になるという警告とも取れます。ですから、いくら後味が悪くても、この映画はお勧めできる作品です。

今まで味わったことのない後味

この映画はホラーというよりもSFホラーのジャンルに入ると思います。なので、恐怖心というよりもドキドキ感の方が強いように思えました。コンセプトとしては「見えない未確認生命体VS人間」といった感じです。雰囲気でいうとバイオハザードやプレデターと近いものがありました。
特筆すべきは、やはりエンディングです。海外ものの映画は日本のものとは違い、ハッピーエンドばかりではなくバッドエンドもしくは現実的なエンディングを採用していることが多々あります。私自身が見てきた海外ホラー映画のいくつかもそのようなエンディングで終わっていたので、慣れていたつもりでしたが、この映画はそのどれにも似つかない独特なエンディングを迎えます。簡単に表現するとしたら「救いようがない」終わり方をします。エンディングに近づくにつれて無意識に終わり方を想像していた私の予想のはるか斜め上を行く意外性たっぷりの終わり方でした。見終わった後はしばらく口が開いていたことに気付けなかったほどです。しかし、その独特なエンディングは一度は見ておいた方がいいと思えるほどでした。映画に慣れている方ほど、この映画は楽しめるのではないかと思います。
唯一残念だと思った点は、その敵対する未確認生物がどのようにして来たかということが語られない点です。いきなり襲ってくるところから物語が始まるので、彼らはなんなのか、なぜ襲ってくるのかという疑問は残ってしまいます。

追い込まれる側の人間の主観に沿って描く

追い込まれる側の人間の主観に沿って描く(追い込む側が描かれない)という点では『クローバーフィールド』と同じですね。

ただクローバーフィールドがエンタテイメントという部分に重きを置いた(かどうかは知りませんけども)のに対して、こっちは相当重いテーマを盛り込んで来てますから、「映画」としてはこっちの方がひょっとしたらレベルは高いというか、崇高なものなのかもしれませんね。私はどっちもおもしろかったんでどっちも好きですけど。

ラストの展開は原作には無いもので監督が足したやつらしいんですけど、じゃあ逆に原作はどこで終わったんですか?めっちゃ気になりますね。

これはラストありきでテーマが浮き彫りになるんであって、あのラストがなかったらメインのテーマはもうちょっと別のところ、宗教狂いのババアのくだりに集約されてしまわないですかね?それかただのパニック作品ですよ。…このスティーブン・キングという人ならなんかそれでも全然やりそうですけども。

「じゃあお前は正しいのか」ってラインまで明確に引き上げるのがラストだと思うのでね。あの完全に必然性のあるラストを足す事を思いついた監督のおっさんは凄いと思います。「このラストの方が衝撃的でおもしろいって、ねえ、よくねよくね?」って感じで足してるワケじゃないでしょうね。計算しての事だと思います。

展開が良いのももちろんですが、あそこは演出もイイですね。霧の移り変わりというか、あれはどうやってるんでしょうかね、照明でしょうか、CGでしょうか。絶妙でした。

作品全体通してカメラワークもカッコ良かった気がします。

極限状態におかれた人間達の心理

街全体に霧がかかり、閉鎖状態にあるスーパーから脱出する為に主人公達は奮闘するのですが、様々な考えや思想を持った人間がいるので、次第に混乱や分裂が生じてくる。

というような極限状態におかれた人間達の心理を描くというしっかりとした目的意識がよくみえてストーリーの中に簡単に入っていく事ができました。

注目すべき点は、登場人物の中にユダヤ教信者がいて、閉鎖された空間で不安と恐怖にかられた人々は、次第に彼女を指導者として崇め出す。

その描き方が良くて、人が集まるとろくな事しないと思いました。

その狂信者達の指導者役の人が本当に凄くて、あそこまでの演技はかなりの役づくりが必要というか、役の入り方が半端じゃないと無理で、気になって調べるとマーシャ・ゲイ・ハーデンという女優で”ミラーズクロッシング”のヒロイン役の人だったんですね。

別人すぎて全く気づきませんでした。

この人は相当凄いです。

そしてこの映画のもうひとつの要素のCGクリーチャーですが

、出てくる事によって結構気持ち悪いシーンが多くなっていました。

デザイン的には散々やり尽くされた形というかただの蜘蛛で正直いまいちでした。

あと終盤に登場した巨大クリーチャーなんですが、あんなに大きいのにスーパーを壊さない意味が分かりませんでした。

あれほど大きくしてしまうと、序盤そのクリーチャーに攻撃されないスーパーが無敵地帯のように感じてしまいます。

そういうところ詰めて欲しいです。

スーパーが舞台の密室ホラー

「ミスト」は謎の霧に包囲されたスーパーマーケットが舞台。霧の中に出て行った人々は帰ってこない。どうやら霧の向こうには怪物がいるらしい……客やスタッフたちは困惑し、生き残るための手段を求めます。主人公は息子を守るために打開策を模索します。原作はホラーの大御所スティーヴン・キング。

ホラーだというのにこの映画には、あまり怪物が出てきません。出てきても腕だけ、影だけ、と非常に思わせぶりです。真っ白な霧の中で、疑心暗鬼に陥る人々の姿こそがメインなのです。もちろん要所要所で登場する怪物たちは恐ろしいですが、閉鎖空間における人間の心の変化こそが恐ろしいです。物理的な密室ではないですが、ある種のクローズドサークル的な物語なのです。

この映画の名脇役は、黙示録を引用して人々を煽る女性です。彼女の主張は最初誰にも顧みられないのですが、極限状態での恐怖を経験するたびに彼女の取り巻きが増えていきます。彼女とその取り巻きたちはあるとんでもないことをしてしまいますが……ネタバレになるので名言は避けますが、この作品の一番のトラウマポイントでした。

そして結末には本当にびっくりしました。評価は分かれそうですが、これはこれでホラーらしいエンドなのかもしれません。人間の無力さ、運命の流れの残酷さの感じるラスト。これはぜひネタバレなしで見て欲しいです。そして私のように呆然としてほしい。

「人間が一番怖い」ホラーが好きな方におすすめしたい一本です。

群像劇と衝撃のラスト

とある田舎町を舞台に、、たまたまスーパーに居合わせた人たちが突然発生した霧の中からおそってくる様々な異形の生物と相対する物語です。

スーパーに居合わせた人々には狂信的な女性や外敵の存在を非現実的と決めつけ信じようとしない者、事態についてなにか知っていそうな軍関係者と、さまざまな背景を持っています。

映画は最初はそれらの人々の群像劇として進んでいきますが、だんだんと正体不明の怪物達が姿を現し、サスペンス色が濃くなっていきます。

そして人々の対立が決定的となり、最後には衝撃的な幕切れが待っています。

この映画のおもしろいところはそれぞれの登場人物の行動がどれが正しいかが最後まで分からないところです。

普通の映画だと主人公が正しい行動を取っていることが暗黙の了解としてあるのですが、この映画ではそれが最後まで分かりません。

人間ドラマ中心ではあるのですが、怪物などが最後まで出てこないような雰囲気重視というわけでは無く、ちゃんといろいろなクリーチャーが出てきてそういう方向のホラーとしても楽しめます。

人々の軋轢が高まっていく部分は少しテンポが悪く、もう少しこなれた描き方があったのでは無いのかな、というところもあるのですが、全体としてはとてもよくできた楽しめる映画です。

この映画で誰もが衝撃的と言及するであろう、最後の部分については人によって評価の分かれるところかも知れません。しかし、これがなければこの映画を見る価値が半減するので、是非そこも楽しんでほしいところです。

丁寧に作られた作品

導入部分からホラー映画にありがちな、日常を丁寧に描き、少しづつ異常さを入れることで、その異質な世界になったということを見てる人に感じさせやすくし、容易に想像できるトラブルが定期的に置き、主人公たちも気が付いたら異質な感情で行動を起こしてラストへと収束する。この映画、割と出来が良くて、何の出来がいいかというと、映像はもちろんのこと、視聴者が理解しやすい割に色々なトラブルやストーリーがコンパクトに収まってる点だと思う。あらすじや予告程度でも十分世界観は理解できると思うし、ストーリーを想像するのが好きな人は、たぶんその思ったことは、ほぼ起きます。そういう楽しみももちろんありながらも、全体像は謎のままラストに。タイトルと同じでモヤッとします。実際に何が起きて終わるかは見てもらうとして、実はこの映画、ラストは別テイクがあって、別の終わり方があります。DVD等には収録されてるので気になった人はチェックしてみて、どちらのラストがよかったとか、見た後にも色々楽しめます。正確にはシチュエーションホラーに近いジャンルだとは思いますが、ホラー映画の定石を理解してるスタッフが作ったんだろうと思わせるシーンも多く、ストーリーをただ流してる映画ではなく、主人公たちや登場キャラクターの個性も立っており、ものすごく理解しやすいし、シーンごとが実に丁寧で心情や感情移入もしやすく楽しめ、ホラー初心者でも割と大丈夫な程度の残酷さもあり、閉鎖環境で情報等を遮断された世界の緩やに異常になっていく群像劇でもあり、非常に面白い映画になってると思います。

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