バンディアガラの断崖

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バンディアガラの断崖(Cliff of Bandiagara)は西アフリカのマリ共和国にある1989年にユネスコの世界遺産に登録された標高差が500m、距離200kmに及ぶ絶景の断崖である。
バンディアガラの断崖は別名「ドゴンの地」ともよばれ、首都バマコ北東に位置する。特有の伝統文化を持つ民族であるドゴン族の居住地区であり、西暦1300年頃からこの地に定住したドゴン族は現在も25万人ほどの人口が暮らしている。
この200kmも続く高低差が激しく険しい断崖は、集落を外敵から守る要塞とされており、民族が天地創造の神話に基づく独自の信仰を持ちながらその信仰、伝統と文化を堅固に保持し続けることができた。
現在もこの土地には700余りの集落が点在し、信仰に基づく社や墓地がある。ドゴン族の仮面をかぶって神を敬うための祭りは我々から見ると奇祭のような不思議な趣がある。
このドゴンの民族神話には非常に高度なシリウスに関しての知識が盛り込まれている。
ドゴン人ははるか昔より現代の天文学に匹敵するほどの卓越した宇宙観と天文の知識を有していたと、村で生活を共にし、盲目の長老から伝説を聞いて研究を進めた人類学者マイセル・グリオールを始めとする欧米の学者の論文で発表されたことから世界の注目を集めた。
昔からの伝統と独自の文化を守り、文明社会とほとんど接点なく暮らしてきた原始部族がなぜこのような天文学の知識を持つことができたのかが最大のミステリーである。
ドゴン族の神話にでてくる神は「ノンモ」と言い、水陸どちらにも棲息できる半魚人の神である。
この神ノンモが地球より8.7万光年の距離に位置するおおいぬ座の主星であるシリウスから方舟でやってきて、ドゴン族に数々の高度な知識を授けてくれたという神話が残っているのである。
ドゴン族の神話ではシリウス星をめぐる特徴についても近代になってされた天体望遠鏡を用いて200倍でないと肉眼では確認できないようなシリウスBという大変暗い伴星の情報などを細かく、そして論文発表当時に文明社会の有していた天文知識に即した事実を述べていたという。
ノンモ(神・精霊=地球外生命体)が方舟(UFO)に乗って地球人に最新の知識を伝えたという伝承は古代から地球がUFOの来訪を受け続けているという興味深い証拠となる。その他にもドゴン族に伝わる神話には彼らのような文明と接触しない民族に伝わるとは考えられない、シリウスに関する情報があらわされており非常に謎めいたオーパーツである。
しかしながら現代の検証でドゴン族の天文学知識が21世紀の最先端の天文学情報とは異なること、調査したドゴン族の人々にはシリウスが連星であることが知られていないことや、シリウスに関する伝説すら知らない人が多いことが分かった。
オーパーツとして世界中の注目を集めた昔のドゴンにまつわる天文学の高度な知見については、報告自体が誤りだった可能性が指摘されている。
この謎について何らかの解釈をする場合、シリウスBが昔は肉眼で確認できる明るさを持っていた、または双子を基軸に考えるドゴン族とシリウスとその伴星であるシリウスBの連星の「双子性」がたまたま偶然に一致したなどの説がある。
他には文明社会から赴いた欧米の学者が当時のドゴン族に天文知識を伝え、それが民族神話として混同して認識されたなどの可能性が示されている。