友人の祖父から聞いた話。

その人の父親(以下、Aさん)は中辺路町近露の生まれで、若い頃は山に入って木を伐る仕事をしていた。
ある時、近露から少し離れた山に小屋掛けをして、仲間達と泊まり込みで作業をすることになった。小屋は山の上と下2カ所に作り、数人が別れて寝泊まりしていた。
ある日のこと、上の小屋の連中が「昨晩は全然寝れなかった」と言った。
山から不思議な声が夜通し聞こえてきて、たまったものではなかったらしい。
薄気味悪くて、用心のために枕元にヨキ(斧)を置いて寝た者もいたくらいだったそうだ。
Aさんは下の小屋に泊まっていたが、話を聞いて興味がわき、その日は上の小屋に行くことにした。

その夜、まだ寝入るには早い時間だったという。
不意に仲間が「来たぞ来たぞ」と小声で知らせたので、横になっていたAさんは身体を起こして耳をそばだてた。

オォォイ……オォォォイィ……

山の上の方から、吠えるような泣き叫ぶような声が、確かに聞こえてきた。

オーイ、オーイ、オイ

そうかと思うと、今度は小屋のすぐ近くで聞こえた。ギョッとしていると、また小屋から遠くのところで同じ声がした。
どうやら位置を変えているらしかった。
あまりに動きが速いので、その場では鳥か何かだろうという結論になった。
しかしAさんは、「鳥なわけがない」と内心思ったらしい。
その声は夜明けくらいまで続いていたそうだ。
その日以降も、Aさん達はしばらく山に入っていたが、不思議な声が聞こえることは二度となかったという。

「私は、山に住んでいるガランボだと思うがね」
と、友人のおじいさんは話が終わった後に言っていた。
中辺路町あたりでは、山から叫ぶような声がして、それに呼応するように違う方向から同じような声が聞こえてくることがあるらしい。
ガランボの鳴き声と言われているそうだ。

ゴウラ(河童)が冬になって、川から山に移動するとガランボになると言われています。

コメント怖い
0
5
  • コメント
  • 他の投稿