和歌山県本宮町出身の知り合いから聞いた話。

本宮町に平治川という地域がある。その名の通り、源平合戦で敗れた平家の落人達の隠れ里だったそうだ。
この平治川には「七人淵」や「七人塚」と呼ばれる場所があり、こんな由来譚が残っている。

平治川の奥にある山の中に、7人の落人達が隠れ住んでいた。ある日彼らが水を汲みに山から出てきたところ、そこに待ち伏せしていた残党狩りの連中に次々と斬り殺されてしまった。
そうして彼らが斬殺されたところを七人淵、死体を埋めた上に建てられた塚を、七人塚と呼ぶようになったそうだ。

しかし平治川には、「七人塚」に関する別の言い伝えもある。
昔、平治川のある山で、7人の木こり達が働いていた。その中に、人一倍体の大きい松若という男がいたのだが、その松若が突然、他の6人に向かって、
「お前ら早く逃げろ。人が喰いたくて仕方がない。早く逃げてくれ!」と言い出した。
5人は「何を馬鹿な」と取り合わなかったが、一番若い直助という男だけは素直に小屋に帰った。
しかし結局、松若はその場で5人を喰い殺し、小屋に帰った直助をも喰ってしまったという。
その後、松若は仲間を殺してしまったことを悔やみ、鬼になった己に絶望し、松ヤニを身体に塗って火を付け、焼け死んだという。
彼らの霊を鎮めるため、七人塚が作られたそうだ。

こんなことがあってから、平治川の人々はどこに行くにも、決して7人にはならなかったという。
特に山で働く人々はこのことをひどく気にし、7人で山に入った時は、小屋の中に人の顔を書いて無理矢理8人にしたということだ。

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平治川は昭和50年頃にはもう廃村になってしまったそうですが、そこには「平治の滝」というマイナーな観光スポットがあり、訪れる人も少なくないそうです。
滝の辺りには古い石垣があり、少し小高いところには屋敷跡も残っています。
かまどと思われる苔むした大きな石からは、当時の人々の暮らしを垣間見ることができるそうです。

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