中編3
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夏物語り【女】

去年の夏頃深夜の帰宅途中いつも同じ場所で女を見かけた

いかにも幽霊みたいな黒い長い髪に白いノースリーブのワンピース異様に青白い腕

じっと俯きながら立っている

初めのうちは正直怖すぎて急いで帰ったりした

女を何回も見て恐怖心が慣れだしたとき好奇心が顔を出す

もっと近くでみたい

その機会はやってきた

飲み会の帰り道

酔っぱらってた勢いもあり女に近づく

女までの距離は2メートルぐらい

全身に鳥肌が立ち一瞬酔いが冷め冷静になる

急に女がこっちを見て目が合ったら

頭では考えながらも引けなくなり勢いで

「…こんばんは…」

女は無反応

変な反応が無くてホッとした気持ちと反応無しで残念な気持ちが交錯した

女を横目に感じながら通りすぎ…

んっ?

女が小刻みに震えている

ゾッとして距離をとり女を見る

女は肩を揺すって震えだした

笑っている?って思った瞬間

「マダダイジョウブマダダイジョウブマダダイジョウブマダダイジョウブマダダイジョウブマダダイジョウブ」

女が笑いながら甲高い声で叫び始めた

こいつは危ない

本能的に踵を返し必死に走り逃げた

「マダダイジョウブマダダイジョウブマダダイジョウブ」

遠くで女の声が聞こえる

振り返ってはダメだ

無我夢中で走り呼吸も体力も限界になりながら家に着いた

もうさすがに女の声は聞こえない

真っ暗な家

胸騒ぎがする

鍵を開け中には入りすぐ電気を着ける

静まり返った室内

押し入れの襖が少し開いている

誰かが覗いている?

ヤバイヤバイヤバイヤバイ

第六感がそう感じながらも頼りない武器に傘を握り押し入れに近づく

暗くて中が見えない

イクシカナイ!

覚悟を決め襖を一気に開ける

何もいない

冷や汗のせいか背筋がゾックっとする

テレビを点けて楽しい事を思い浮かべる

何分ぐらい時間が経ったか徐々に恐怖が和らぐ

けどまだ怖くてトイレにも行けないし風呂にも入れない

恐怖心とは裏腹に睡魔が襲ってくる

眠い

でも目を閉じるのが怖い…

…どうやらいつの間にか眠っていたようだ

眠ったおかげか恐怖心は無い

トイレに行きシャワーをあびる

あっ

眠りが深かったせいかもう出勤ギリギリの時間

急いで準備をして家を出る

昨日の事が頭をよぎりながらもいつも通り働く

仕事が終わり会社をあとにする

昨日の事もあったからいつもと違うルートで帰宅する

女に会わないように…

それから何日も経ち夏も終わり秋が近づく

肌寒くなり始めだした時フッとあの女の事を思い出した

もう恐怖心は全くない

前と同じように好奇心が顔を出す

足は迷わず女がいる方へと向いていた

やっぱりいた

前と変わらずに

目の当たりにしたら昔の恐怖心が出てくる

「…こんばんは…」

声をかけてしまった

女から目を離さない

女の肩は震えている

んっ?肩だけじゃない

足も

腕も

頭も

女が叫びだした

「モウムリモウムリモウムリモウムリモウムリモウムリ」

女が顔をあげこっちを見る

もう無理?ゾッとし前と同じように逃げた

でも逃げながらある事に気づき

女の顔を思い出す

長い前髪から覗く真っ黒な目

そしてカチカチカチカチ音を立て震える口

俺はなにか理解できた

そのまま急いで家に帰りある物を持って女の所へ戻る

女はいなかった

冷たい深夜の秋風が吹く

たった一人残された俺

手には冬用のコート

あれから月日が流れ日に日に温かくなる今日

思い出すのはあの女

思い浮かぶはケツメイシの夏の思い出

間もなく俺らまた夏に会える

最後まで読んで下さってありがとうございます。

怖い話投稿:ホラーテラー 中学生さん  

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